さてさて、続けて参りますよ。
前回と同じく穴埋めです。
☆
I can't have you __________ like that about your father.
1)speaking 2)to speak 3)spoke 4)spoken
[がくしゅういんだいがく]
これは、日本語だと
「あなたがお父さんのことをそんなふうにいう事は許せないの。」と、なんだか家族ドラマが目に浮かぶ一言です。
これは、使役動詞のパターンで原形動詞を選べばいいっていう安易な受験生を振り落とす問題。「でも、選択肢に原形動詞がない! あれ?!」っていう感じで受験生のペースを狂わせる。
正解は、1番の speaking
have A[人] V-ing で「Aに〜させておく」というフレーズになる。
わかれば、簡単ね。
と、ここで終わりにすると、他の問題集と同じだ。
ページ数を気にする事なく、ああだこうだと書けるのがブログの持ち味。
この have O V-ing がなぜ、動名詞なのかを考えてみたい。
この解釈を助けてくれるのが、大西泰斗先生の『ハートで感じる英文法』だ。
大西先生は、この動名詞について、「現場で今まさに現象が起きている感じ」と解説する。
この解釈がここでも、ぴったりハマると思う。この文では、母親が最近、中学に入学した息子や娘が一家の柱である父親に悪態をつくようになった、と。
これはガマンできない、といい諭す場面がこれだ。
もうひとつ、考えたい事がある。これが引っ掛け問題を意図しているなら、なぜ選択肢に「原形不定詞」の' speak 'がないのか? という点だ。
なぜか? それは正解の可能性が出てくるからだろう。
I can't have you speak like that about your father.
speakには、自動詞として「口をきく」という和訳がある。ということは、これは文法的には間違っていない、ということになる。ただ、常識的なニュアンスとして違うだろう、ということだと思う。
各語学試験における短文穴埋めでは、正解の一つの選択肢を除いては、言語学的にあり得ない、可能性がゼロである選択肢を並べなくてはならない。少しでも可能性としてゼロではない言い方は、選択肢に2つ以上にあってはならないのだ。
この' have you speak 'の短文から想起できるストーリーによっては、この言い方も、あながち考えられないものでもない。
たとえば、妻が夫を嫌っていて、息子、娘に悪口を日常的に吹き込む、すると彼らは父親に悪態をつく。
しかし「やはりこれではいけない」と妻が改心し、「私が夫を嫌うのを、子供達に共感させてはいけない、やはり彼らにとっては立派な父親であって欲しい」と思い直した時の一言がこれではないだろうか?
なかなか、奥深い家族ドラマが想起される一句だ。
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