彼女の心変わりに・・・・・笑えない女、(心で)泣いたかもしれない女
去年4月に、娘の毛蟹が遠く離れた地方の大学に入り家を出て行ってから、マルチーズのちびマルこ(娘以外誰にでも唸るので別名ウナリッチ)は、私が触っても抱いても唸らなくなり、私とちびマルの楽しい日々は続いていた。
私が帰ってくると玄関に走ってきてしっぽを振り振り私に前足を欠ける。可愛いわー♡
夫が帰って来ると毎日唸って、上半身を低くしお尻を高くして攻撃態勢。ふふふ。可愛いわー♡。
最近はリビングから廊下に出た所で立ち止まり、そこでワンワンと夫に吠え続けることも多い。そんなときは、
「よし!行け!お父さんだ!」
と私は声をかける。
するとちびマル、ダッシュして夫に襲いかかる。
ふふふ。可愛いわー。
夏休みになり、8月に毛蟹が帰って来た。私は駅まで車で迎えに行った。
ちびマルは小さい時から毛蟹だけにはなついていて、毛蟹が帰るといつも玄関で飛びついてくる。
玄関前で鍵を開けながら、私は毛蟹に、
「ちびマル、久しぶりだから喜ぶよ♡。お母さんより先に入ってね。」
と言った。
毛蟹が玄関から廊下にあがった時、ちびマルがリビングから出てきた。
廊下で毛蟹とちびマルが久しぶりの再会!あー。ちびマルが下半身がちぎれそうなほどしっぽを振って喜ぶだろう♡♡♡
喜ぶはず・・・・・
・・・はずなんだけど!!!
ちびマルは毛蟹の足元を静かにすり抜け、玄関で靴を脱いでいた私にまっすぐやってきて、しっぽを目一杯振って私に嬉しそうに飛びかかって来た。
え・・・?あの・・・?毛蟹にそっくりなお母さんを、毛蟹と間違えてる・・・?
いや、そんなはずないよね。
あの・・・・。毛蟹が・・・・。
毛蟹は、無言のまま、私とちびマルを振りかえることもせず、表情も変えず、リビングに入り自分のいすに静かに座った。
静かに・・・・無言のまま・・・・。
あ・・・。あ・・・・・まずい!まずいぞ!
オイ!ちびマル!
「ちびマル!お姉ちゃんだよ。ほら!お前の大好きなお姉ちゃんだよ!」
私はちびマルを抱いて急いで毛蟹の所に連れて行った。
毛蟹はちびマルを見ずにテレビを見ている。
ちびマルを床に下ろすと、ちびマルは以前していたように、毛蟹の椅子に前足をかけ、しっぽを振って甘えた。
毛蟹はそのちびマルの頭を静かに撫でる。
「よしよし。」
以前の、毛蟹&ちびマルの風景である。
よかった・・・・。と、とりあえず、よかった・・・。
しかし・・・・。
なぜ、ちびマルは毛蟹に反応しなかったのだろう。
すこし、ぼけっちゃったのかしら・・・・・。
毛蟹、大丈夫かしら。
静かすぎた毛蟹が気になる・・・・。
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