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時制の一致:正しいほうを選べ!(中級編/解答編)
こんにちは。旧チャンネルブログの流れを汲む日記の水曜日がやってきました。
今週は解答編です。
前回の「時制の一致:初級編」に続きまして、中級編でした。今回も皆様のコメント嬉しいです。ありがとうございました。
今回の「中級編」のテーマは『時制の一致の例外』と呼ばれるものの紹介でした。時制の一致の原則は、前回やりました。見てない人は確認してください。
『時制の一致』には、原則に外れる「例外」が3つあります。それをここでは確認しましょう。
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(1)過去の歴史的事実や過去の出来事がはっきりしていることは常に【過去形】。
例
He knew that the Civil war broke out in 1861.
(彼は、南北戦争が1861年に起こったことを知っていた)
例文の knew や broke は両方とも同じ「過去形」です。前回の時制の一致の原則に則ると、「彼が knew ~(~を知っていた)」のと、「南北戦争が1861年に broke (起こった)」のは【同時期】と判断されてしまいます。だから「彼は、南北戦争が1861年に起こったことを知っていた」と言いたいならば、原則に則ると⇒ He knew that the Civil war had broken out in 1861. …としたいところです。しかし、ここに『例外』が適用されます。『過去の歴史的事実や過去の出来事がはっきりしていることは常に【過去形】』なのです。したがって、両方とも過去形にしに、
⇒He knew that the Civil war broke out in 1861.となり、意味は→(彼は、南北戦争が1861年に起こったことを知っていた)となります。
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(2)普遍の真理は常に【現在形】
例
She knew that the moon goes around the earth.
(彼女は、月が地球の周りを回っていることを知っていた)
例文の knew は過去形ですが、goes は現在形です。注目して欲しいところは、goes のほうです。「月が地球の周りを回っている」のは「普遍の真理」とされます。「普遍」ってどういう意味か分かりますか? 「全体に広く行き渡ること。例外なくすべてのものにあてはまること」という意味です。「いつでも、どこでも当てはまること」を言います。「5000年前のエジプトでも、月は地球の周りを回っていた」だろうし、「1万年後の日本でも、月は地球の周りを回っている」でしょう。こういう事象は常に「現在形」で表します。(25日pm10:50追加⇒ 「普遍の真理」ではなく「不変の真理」が良いのではないかという意見をpantaniさんからいただいた。(>「不変」とは時間的垂直概念を示し、「時制」に関する話題には「普遍」より相応しい言葉だと思います。)というご意見であった。すぐにロイヤル英文法や江川の英文法解説を確認したところ、両者とも「不変」になっていた。「普遍」でも間違いではないと思うので直さないが、「不変の真理」で正しい! ということもここに明記する)
ここで、面白いのは「話者自身が、【普遍の真理だ】と思い込んでいるものも、現在形になってしまうことです。
例えば
When you meet her tomorrow, you will think that she is very beautiful.
(明日彼女に会うと、君は彼女がとても美しいと思うだろう)
彼女が本当に美しいかどうか…これは「普遍の事実」とまでは言えないでしょう。「誰が見ても、彼は美人だと思うかどうか」…これは確証がありません。しかし、少なくとも話者は「普遍の事実だ」と思っている(思い込んでいる)わけです。こういう場合も現在形にします。
この「普遍の事実は常に【現在形】」の類例で、「現在の特性や職業を表すとき」も常に現在形、というものもあります。
例
She asked me what my father does.(彼女は、私の父の職業は何かと尋ねた)
ここの(4)をご覧ください。(4)現在形は「今」を表さない。「今を含めて少し過去から少し未来までにおいていつでも当てはまる状況」を表す。
what my father does の意味は「父が、いつも何をしている状況なのか」つまり「父の職業」を聞いているのです。こういうのも常に現在形なわけです。
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(3)仮定法は「時制の一致」を受けない。
ここで軽く触れた「仮定法」も時制の一致を受けません。
例
(例文A) He thinks that if he were rich, he would live in Denenchohu.
(もし自分が金持ちなら、田園調布に住むのに、と彼は思っている)
これは見事なまでの「仮定法過去」ですね。形は過去でも意味は現在です。大丈夫でしょうか? この例文A は「thinks」と現在形です。彼は常日頃そう思っているわけです。しかし、「今現在」はそう思っておらず、「過去にそう思っていた場合」を考えましょう。この場合 thinks は thought になりますね。すると↓こうなります。
(例文B)He thought that if he were rich, he would live in Denenchohu.
(もし自分が金持ちなら、田園調布に住むのに、と彼は思っていた)
なんと、「that 以下」が微塵も変わりません。「過去の時点で想像した」のだから、仮定法過去完了で、こうなりそう→He thought that if he had been rich, he would have lived in Denenchohu. …なものです。しかし、こうならないのです。仮定法の英文の場合は「時制の一致」を受けません。thinks が thought になっても、that 以下は変わらないのです。過去の時点(thought)で「金持ちであれば」と仮定しても、意味が過去の「仮定法過去完了」にならず、意味が現在の「仮定法過去」になります。
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以上が「時制の一致の例外」でした。これらを踏まえて、問題を見てみましょう。
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(出典:「基礎からよくわかる 英文法問題集」綿貫陽著 旺文社)
次の各文の( )内の語句のうち正しいほうを選びなさい。
(1)This book says that World War Ⅱ (ends, ended) in 1945.
【正解】:ended
【解説】時制の一致の例外の(1)過去の歴史的事実や過去の出来事がはっきりしていることは常に【過去形】。←これが適用される。第二次世界大戦が1945年に終わったのは、過去の歴史的事実。したがって【過去形】。(この本に、第二次世界大戦は1945年に終わったと、記されている)
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(2)Who first discovered that the earth (is, had been) round?
【正解】is
【解説】時制の一致の例外の(2)普遍の真理は常に【現在形】←これが適用される。地球が丸いのは、明らかな「普遍の真理」。したがって【現在形】。(誰が最初に地球が丸いことを発見したのだろうか)
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(3)He often cited the proverb that honesty (is, be) the best policy.
【正解】is
【解説】時制の一致の例外の(2)普遍の真理は常に【現在形】←これが適用される。こういった「ことわざ」は大体「普遍の真理」扱いになる。したがって【現在形】。こういう「ことわざ」が過去形だったらおかしい。例えば、「Time is money (時は金なり)」ということわざがあるが、これが仮に過去形だったら→「Time was money(時は金だった)」となる。明らかにおかしいことが分かるだろう。(彼はよく、正直は最良の策、ということわざを引用した)
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(4)You will find that this book (is, will be) interesting.
【正解】is
【解説】時制の一致の例外の(2)普遍の真理は常に【現在形】←これが適用される。言った本人は「この本が面白いのは普遍の真理だ」と思っている。したがって【現在形】。(君はこの本が面白いと分かるだろう)
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(5)He spoke English as if he (were, had been) an American.
【正解】were
【解説】時制の一致の例外(3)仮定法は「時制の一致」を受けない。←これが適用される。as if ~「まるで~のように」は(じつのところ、直説法もあるのだが)、基本的に「仮定法」が使われる。まして今回のように選択肢が「were」と「had been」の2択ならば、「仮定法に決定」である。したがって、この問題は「時制の一致を受けない」ことを念頭に置く。言いたい文章は「彼はまるでアメリカ人のように英語を話した」であろう。確かに過去の時点で「まるでアメリカ人のように」と仮定してるのだが、意味が過去の「仮定法過去完了」にならず、意味が現在の「仮定法過去」になる。したがって→「were」が正解。
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(6)Susie said she wished she (were, had been) younger.
【正解】were
【解説】時制の一致の例外(3)仮定法は「時制の一致」を受けない。←これが適用される。wish 「~であればなあ、~であったらなあ」の後は「仮定法」が使われる。したがって、この問題は「時制の一致を受けない」ことを念頭に置く。言いたい文章は「スージーは(その時点で)私が若ければなあ、と言った」のか、「スージーが(その時点より以前に、あの頃に)私が若かったらなあ、と言った」のだろうか? 後者であれば、had been だが、「あの時点で」といった「過去の時点」を示されていない。であれば、said の時点で「(今現在)若ければなあ」と意味を受け取るのが筋であろう。したがって、意味が過去の「仮定法過去完了」にならず、意味が現在の「仮定法過去」になる。ゆえに→「were」が正解。
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という具合でした。皆様いかがだったでしょうか? 今回は以上です。
ではまた来週~
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