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文法の例外細目と関係副詞that(5)最終回
シリーズ「文法の例外細目と関係副詞that」の5回目である。(1)から見てない方は(1)から見ていただきたい。
(1)
http://q-eng.com/diary/2123
(2)
http://q-eng.com/diary/2122
(3)
http://q-eng.com/diary/2121
(4)
http://q-eng.com/diary/2119
(2)英語が苦手な人の発想と得意な人の発想の違い
l. 上智短大と成蹊大の問題
前回のラストで例に挙げた問題
(3)正しいものを1つ選びなさい。
A. We first went to the U.S.A in the year that Kennedy was assassinated.
B. We first went to the U.S.A in the year which Kennedy was assassinated.
C. We first went to the U.S.A in the year of which Kennedy was assassinated.
D. We first went to the U.S.A in which year Kennedy was assassinated.
も、その次問題
(4)誤っているものを1つ選びなさい。
A. I never forget the day which I met you.
B. I never forget the day that I met you.
C. I never forget the day when I met you.
D. I never forget the day on which I met you.
も、(3)は上智短大、(4)は成蹊大学の過去問題であった。(9日の午前10:10まで(4)も上智短大としていたが、誤りでした) なお(3)の正解はAで(4)の正解はAである。
さて、この2つを「苦手な人の視点」と「得意な人の視点」で考えたい。
「英語が苦手な人にとって、この問題はどう映るだろうか?」
ポイントはもちろん、(関係副詞の)that である。
前回説明したが、
英語が苦手な人は、<私のように関係副詞にもthat があるとちゃんと覚えている>
か、少なくとも
<なんとなく「thatは万能」と覚えてしまっている>のだ!
だから苦手な人にとっては
(3)の
A. We first went to the U.S.A in the year that Kennedy was assassinated.
は違和感なく感じるはずである。
(4)の
B. I never forget the day that I met you.
は違和感なく感じるはずである。
したがって、上智短大と成蹊のこの問題((3)、(4))は、英語が苦手な人にとって「比較的正解を出しやすい」問題なのだ!!! that はなんとなく「あっているように見える」のだ!
ところがどっこい、英語が得意な人はどうだろう? 彼らの「違和感」の判定では、that をどう感じるだろうか?
得意な人にとっては
(3)は
that を when にわざわざ変えて、↓
We first went to the U.S.A in the year when Kennedy was assassinated.
が1番違和感なく感じるはずである。
(4)は
C. I never forget the day when I met you.
が1番違和感なく感じるはずである。
したがって、この問題((3)、(4))は、英語が得意な人にとって「比較的正解を出しにくい」問題なのだ!!! ともすれば、that はなんとなく「間違っているかもしれない」と思いがちなのだ!
得意な人は、それでも↓こう言うかもしれない。
「関係副詞のthatに関する問題はそれほど出題されないよ」
と。
そこで、関係副詞のthatの知識を問う他の大学での出題はないか調べてみた。今回の問題を出した問題集の中にもう1問発見した。それは次のような問題であった。
This is the reason( )he goes out on sunny days.(誤り1つ)
A.why B.how C.that D. for which (龍谷)
答えは B.である。C.のthatは関係副詞として使われる。当然正しい。
このように、上智短期、成蹊、龍谷 と3つの大学が関係副詞thatに関する問題を出している。しかも、これらはたまたま「たった1つの問題集」から引っ張ってきたにすぎない。全ての大学の過去問題を荒いざらい探せば、もっとわんさか見つかるはずである。
この結果、少なくとも私には、関係副詞のthat の問題は、到底「珍しい問題」とは思えない。(少なくとも同大学を志望する受験生は覚えなければならない知識であろう)
さて、ここでもう1つ考えて欲しいことがある。
関係副詞のthatを知っていれば難なく解ける、この(3)上智短大、(4)成蹊、そして龍谷がかつて出した問題だが、これらのある性質について考えて欲しい。
これらの問題は「苦手な人にとってとても有利な問題だ」と言えるのではないか?
なぜなら、関係副詞のthatが使われている英文は
苦手な人には⇒「thatを万能。だから多分正しい、と思い易い」
得意な人には⇒「thatは若干違和感がある。これで合っているかどうか少し自信がない」
と感じるのだ。
つまり
(3)上智短大、(4)成蹊、そして龍谷がかつて出した関係副詞thatの知識を問う問題は、
「得意な人より、苦手な人が、正答を出しやすい問題」に私には思えるのだ。
どうであろうか?
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m. センターで問われたある関係副詞の問題
実は「センター試験」でも「関係副詞のthatに関する知識を問う問題」は過去に出されている。
しかし、さすがセンター。「苦手な人イジメ」な問題になっている。
「関係副詞のthatに関する知識を問う問題」なのに
「苦手な人より、得意な人が、正答を出しやすい問題」だった。「関係副詞thatの知識は、苦手な人のほうが知っている」のを逆手に取った問題だった。
具体的には、92年度・第2問・問11である。
「( )に適語を選べ」という問題で、↓こんな問題であった。
The firemen had trouble getting to the street ( )the house were on fire.
1.how 2.that 3.where 4.which
苦手な人は
「やった~thatだ! これを選らんで置けば、正解なはずだ!」
と思った人が多いはずである。
「関係副詞のwhere でさえ、that は関係副詞として使えるはず」だから、that でも良いはずだ…と、実は私自身も思った。
しかし選択肢の中には where もある。だから私がこの問題を見たとき「あれ?」と思った。「センターの問題作成部会のミス? where でも that でも良いじゃんか!」と思った。
しかしセンターの問題製作部はそんな生易しい集団ではない。正解は where のみ。that はこの場合、正解にはならない。
なぜか?
↓私のマンガの説明をよく見てもらいたい。
http://www.h2.dion.ne.jp/~e-kirai/sample_r/kanpuku_that.html
「関係副詞のwhere が that と交換できるのは、先行詞が place の場合のみ」
とある。
今回のセンターの問題では、先行詞は street なのだ。 place ではない! したがって、この問題の場合、 where しか入れられないのだ!
センターの問題製作部はここまでの知識を要求してきたのだ!
それこそ「細かい!」と得意な人でも思うのではないだろうか?
ところがである。
それでも、この問題は「得意な人に有利」なのである。
得意な人の多くは、そもそも<関係副詞と交換可能な「関係副詞のthat」の知識を最初から知らない>という可能性が高いのだ。
「関係副詞のthat」の知識を知らない彼らなら、この問題を解くとき、最初から「関係副詞that」を選択肢の中から「外す」ことができるではないか!
したがって、この問題は、
「thatなら大概みんなOK」と思ってる苦手な人に不利。
「関係副詞のthatを知らなかった得意な人」に有利
と言えるのではなかろうか?
実にセンターらしい問題だと、私は憤慨したものである。
****
n. 可哀想か可哀想でないか?
さて、大詰めである。
いただいたコメントの趣旨は
「関係副詞のthatは、出現頻度の低い例外細目。普通は教わらないほうが多い。教わるほうは可哀想。だからできれば教えないほうがよいのでは?」
といったものであった。
ます「関係副詞のthatに関する出題」の頻度に関してはどうだろう?「頻度は少ない」と言えるだろうか?
上智短大、成蹊、龍谷、そしてセンター。探せば他にいくらでもあるだろう。
だから、少なくとも私には「頻度が少ない」とは思えない。頻出とは言わないが、「出されても文句は言えない」ぐらいの頻度はあると思う。
そして、センターのような「超細かいケース」ではない場合、
つまり、「上智短大、成蹊、龍谷で出たような問題」の場合、
「得意な人に不利! 苦手な人に有利!」
と言えると思っている。
関係副詞のthat は、得意な人の場合知らない人が多い反面、(学年最下位のアンポンタンの私のような)苦手な人でも知っているケースが多いのである。(少なくとも「万能」っぽく見える) その結果、
関係副詞のthatの知識を問う問題は
「得意な人は間違える確率が高く、苦手な人は正解する確率が高い」のだ!
ここで、また「掛け算オリンピック」のたとえ話を持ってくる。
前に↓こんな話をした。
・マウスバードは、
…なぜか、ポカミスで11×13の答えを間違えた。その結果、掛け算オリンピックの上位に名を連ねられなかった。ただし、もちろん楽勝で40点以上なので、膨大な宿題は課されなかった。
・算数が苦手な人は
…11×13は筆算で正解を出せた。しかし他の問題を多く間違えたために、39点だった。40点以上ではなかったので、膨大な宿題が課された。
この場合
「マウスバード」と「算数が苦手な人」とでは「どちらが可哀想」と言えるだろうか?
・・・
私には「算数が苦手な人」のほうが可哀想に思える。「マウスバード」に対しては、ちっとも可哀想とは思えない。
・「マウスバード」は、日ごろ「22×20を覚えよう!^^」とかほざいていたくせに、間違えてやんの! うわ~ははは! ザマアミロ~~~! ザマアミロ~~!!! Ψ(`∀´)Ψ
可哀想? なんで? 膨大な宿題な課されなかったマウスバードがなんで可哀想なんだ? フザケンナ!
と思う。
・「算数が苦手な人」に対しては、
惜しい! 20点も取れそうになかったのに、39点まで取れた。よく頑張ったじゃないか! でも取り決めは取り決め。膨大な宿題をやらざるを得ないのだろう。。。。可哀想に。。。。。。
と思う。
これを、今回の「関係副詞thatの問題」に当てはめる。
・英語が得意な人は、
…「関係副詞thatの問題」の答えを間違えた。その結果、成績が最上位にはならなかった。ただし、もちろん他の英語の問題で高得点なので、合格した。
・英語が苦手な人は
…「関係副詞thatの問題」で正解を出せた。しかし他の英語の問題を多く間違えたために、不合格だった。
↑
この場合
「英語が得意な人」と「算数が苦手な人」とでは「どちらが可哀想」と言えるだろうか?
・・・
・「英語が得意な人」は、日ごろ「ネイティブの感覚を覚えよう!^^」とかほざいていたくせに、間違えてやんの! うわ~ははは! ザマアミロ~~~! ザマアミロ~~!!! Ψ(`∀´)Ψ
可哀想? なんで? 合格した得意な人がなんで可哀想なんだ? フザケンナ!
と思う。
・「英語が苦手な人」に対しては、
関係副詞thatの問題はあっていたのに。不合格。。。。可哀想に。。。。。。
と思う。
・・・・・・・・・
私は知っている。
「一部の英語が得意な人」が、「ネイティブらしくない表現を嫌うこと」を良く知っている。
ネイティブっぽくない表現を知らなくても、合格できることも知ってる。
だから、彼らが「ネイティブらしくない表現を教わると『腹が立つ』」ことも知ってる。
「ネイティブらしくない表現が出題されると腹が立つ」ことも知っている。
しかし、だからと言って、私は彼らを一向に「可哀想」とは思えない。なぜなら彼らはいつも成績が優秀だからだ。他の問題で、苦手な人よりはるかに点数を獲得しているに決まっている。
一方、英語が苦手な人は「関係副詞のthat」を教われば、すぐにこれは覚える。「なんでも that はイケル! ラッキー!」とすぐさま覚えるはずである。
そして、(偶然だが)この関係副詞のthat を覚えていれば、「普段、自分たち(英語が苦手な人)をバカにしている英語が得意な連中がこれを間違え」て、彼らを嘲笑できるチャンスが生まれるのである。
「関係副詞のthat」1つあっていたぐらいでは合格には程遠い。トータル的に見れば、得意な人にバカにされてしまうが、
しかし、私は、苦手な人にはせめて
「関係副詞のthat」の問題に正解を出すことで、得意な人に一矢報いて欲しい
のだ。
あなたはどう思うだろうか?
・(いつも成績優秀な)英語が得意な人が「関係副詞のthat」をわざわざ習ってときにそれを不快に思う場合
と
・(いつも成績が悪くバカにされる)英語が苦手な人が「関係副詞のthat」を(教わった場合、喜ぶのに)教わらないことで、得意な人に一矢も報えない場合
あなたは、どちらがより「可哀想」だと思えるだろうか?
私が、可哀想と思えるのは、
英語が苦手な人が「関係副詞のthat」を(教わった場合、喜ぶのに)教わらないことで、得意な人に一矢も報えない
という場合なのである。
したがって、私は「関係副詞のthat」を教えることは厭わない。
むしろ喜んで教えるのだ。
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説明は以上である。
随分長い説明になってしまった。
最後まで読んでくださった人がどれほどいるだろうか?
もし読んでくださった方いたとしたら、大変な感謝をする次第である。
それと、もし良かったらもう1つお願いがある。
「なぜ、私がこの問題1つに、わざわざこんな長い説明を緊急的に書いたのか?」という理由である。これを考えていただけないだろうか? もしこれを分かっていただけたら、私はとても嬉しく思うものである。
m(_ _)m
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