第7回から
・
耳タイプ
・
意味タイプ
の説明をしています。
今日は、もしかしたら「
耳タイプ」「
意味タイプ」と関係ないかもしれません。
ただ、こちらの調べでは【これから話す内容は、
耳タイプの人にその傾向が強い】ということが分かっています。
今回のテーマは「
完了形が苦手な人はなぜ苦手なのか?」という話です。
結論から言うと「
現在完了や過去完了が苦手な人は、言葉をつなげて1単語にしてしまうせい もあるではないか」という話です。
この回の(2)で予告した話です。
この回の(2)で
>例えば「テクノ」+「サービス」ではなく、「テクノサービス」という【1語】で認識している
ということが分かりました。
と私は書きました。この話を発展させます。
★『1語タイプ』と『分割タイプ』という考え方 提案します。
例えば「
歩道」という言葉は「歩くための」+「道」という意味ですが、通常「歩道」という1語で表されます。元々は分離しているものが「1語」になったものです。普段は「歩くための」+「道」と2語に分割して考えないですよね。ですが「歩くための」+「道」と2語に分割して考えようとすれば考えられなくもないはずです。
ここで実は差が出ます。
●「
歩道」を「歩くための」+「道」と『2語に分割して考えろ』と言われた場合
・そう言われても、なかなか分割して考えられないタイプ。「
どう考えても1つの単語だろう」と思えるタイプ
・そう言われて、すぐさま分割して考えられるタイプ。
2語に分割してもさほど違和感を感じないタイプ
この2つのタイプが存在するようなのです。
私は「すぐさま分割して考えられるタイプ」です。ですがここを見てくださっている人には「なかなか分割して考えられないタイプ」も大勢いらっしゃると思います。私は「すぐさま分割して考えられるタイプ」だったので、私には『「なかなか分割して考えられないタイプ」はなぜ分割できないのだろう?」と不思議に思いました。
そこで私を含めて「すぐさま分割して考えられるタイプ」の皆さんに、「なかなか分割して考えられないタイプ」の皆さんがどのように感じているのかを説明いたします。実はまさに「不思議」という言葉で説明できます。
「
不思議」という言葉はどうでしょう? 本当は「ではない」+「思議」という2語で出来上がっている言葉なのですが、まずそうは考えないでしょう。言ってみれば「不思議」≒「謎」というような感覚で、2語に分割して考えることはまずないはずです。
「不思議」は「不思議」という「1語」のはずです。
「なかなか分割して考えられないタイプ」の皆さんは、
・「不思議」は<「ではない」+「思議」という2語の言葉>と考えにくい=「1語」と考える
のと同様に
・「歩道」を<「歩くための」+「道」という2語の言葉>と考えにくい=「1語」と考える
こんな感じなのです。
<おそらくこの辺は【馴染み】の個人差も関係があるのです。例えば、「思議」という言葉は普通の人には馴染みがあまりないと思います。でも例えば普段「漢文」に興味がある人には「思議」という言葉にも馴染みがあって、そういう人には「でない」+「思議」と、さほど苦にせず分割して考えることが出来ると思います。>
では次。
「
株式会社」という言葉です。これも「株式を発行している」+「会社」なのですが、2タイプに分けられます。
「株式会社」は
・<「株式を発行している」+「会社」という2語の言葉>と考えにくい=
「1語」と考える…タイプ
・<「株式を発行している」+「会社」という
2語の言葉>
と考えることが容易い(むしろそうと
しか考えられない)…タイプ
この2タイプが存在します。
この2タイプをそれぞれ『
1語タイプ』『
分割タイプ』と私は名付けました。あなたはどちらでしょうか? 『1語タイプ』?『分割タイプ』? ここまでよろしいでしょうか?
さーて、ここからが私の発見です。
「
現在完了」という言葉を考えましょう。
これは「現在時制で使う」+「完了形」という言葉なのですが
・<「現在時制で使う」+「完了形」という2語の言葉>と考えにくい=「
1語」と考える…タイプ
・<「現在時制で使う」+「完了形」という
2語の言葉>
と考えることが容易い(むしろそうと
しか考えられない)…タイプ
この2タイプが存在します。
あなたはどちらでしょうか? 『
1語タイプ』?『
分割タイプ』?
実はこちらの調査で分かったことがあります。
●『
1語タイプ』(「現在完了」を<「現在時制で使う」+「完了形」という2語の言葉>と考えにくい=「1語」と考える…タイプ)の人は、
100%「現在完了に苦手意識を持っている」…ということです。
私は『
分割タイプ』なのです。<「現在時制で使う」+「完了形」という2語の言葉>と考えることが容易い(むしろそうとしか考えられない)…タイプです。
現在完了だろうが、過去完了だろうが、容易く考えられます。特に難しいとは全く思わないのです。「現在時制で使う」「完了形」のどこが難しいのだろう?と思えるのです。だから私にとっては「現在完了」を苦手としている人がなぜ苦手に感じるのか謎でした。
---
現在の私の社会人の生徒さんにこの話をしました。
この方は「現在完了」が苦手でした。そこで聞いてみました。「あなたは「現在完了」を<「現在時制で使う」+「完了形」という2語の言葉>と思っていますか…と訪ねました。生徒様の返事は『
いいえ』でした。つまりこの生徒さんは、普段分割しない「
1語タイプ」だったわけです。
そこで私はこの生徒様に
・
「現在完了」は「現在時制で使う」+「完了形」という2つに分割して考えてみて下さい
と提案してみました。
→するとようやく「そういうことだったんですねー」という理解を得ました
===
このように、『
1語タイプ』と『
分割タイプ』という考え方が成り立つと思うのです。
そして、(ここからはまだデータが少ないのでカッチリとは言えませんが)
●「
耳タイプ」の人は『
1語タイプ』になりやすい
●「
1語タイプ」は
「現在完了」や「過去完了」が苦手になりやすい
と思っています。皆様どうお思いでしょうか?
ご感想をいただければ幸いです。m(_ _)m
(このシリーズは一旦次回で終了予定です。ですがこの「耳タイプ」「意味タイプ」は長く研究するに値するテーマだと思っています。近いうちに全然違う角度で(何らかの形で)、改めて説明しようと思います。)
金曜日は【ニコニコ生放送】による文法講義放送です。この続きは来週の
月曜日です。
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