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国勢調査員あーす・・・この調査員証が目に入らぬか!
6月のある日、何かいいバイト無いかな、と市役所勤めの友人に言ったら、
「国勢調査員募集してますよ。私、人数が足りなくて駆り出されたことがあるんですが、そんなに大変じゃなかったですよ。土日だけで終わりましたから。女性には大変な地区は担当させませんからね。」
と、言われた。
「ふーん、そんなに大変じゃないんだ。1ヶ月くらいで終わるし。」
なんて簡単に考えて、調査員に応募してしまった。
9月になった。
20日から22日までの間に、「国勢調査のお知らせ」を各戸に配布するので、その前に、事前調査をしなければならない。地図を見ながら、空き家は無いか、新しく建った家は無いか、アパートはどこが空き家か、等々。
私は2地区を担当している。1地区は約50戸ほどだ。合計100戸。
・・・・・・・・・・・・・、しかし、暑い。 毎日午前中から30度は軽く超える。はあ~。行きたくない。それに、熱中症になって倒れたりしたら、市役所に御迷惑かけるものね。
お、今日は涼しい。・・・・なんて日がきたら、雨。・・・・・・・・・・・・・・・やっぱりねえ、雨だとねえ、地図もって歩くのには不向きよねえ。
ついに20日になってしまった。
20日、暑い・・・。21日、暑い・・・。22日、暑い・・・。千葉の茂原じゃ、36.7度を記録!う~、駄目だ、行けない・・・。しかし、お国のために引き受けた仕事だ、行かねばならぬ!
ということで、22日夕方、事前調査を兼ね、お知らせ配布へ。
お知らせは郵便受けに入れるだけでいいのだけれど、アパートなどは表札を出していない人も多いので、ドアを見ただけでは、住んでいるのかどうかわからない。
郵便受けにチラシがたまっているとか、電気のメーターが動いていなければ空き家だけれど、郵便受けには何もたまっていなくて、電気メーターがどこにあるか分からない場合は判断できない。確実な空き家は調査対象から外さなければならないが、どちらかわからない場合は一応調査対象になる。
それに、調査票には1枚4人までしか記入できないので、それぞれのお宅の家族の人数を事前に聞いて、渡す調査票に数字を書き込んでおきたい。(しかし、「何人ですか?」と聞くと、個人の情報を聞き出すことになるので駄目なのだ。「1枚で足りますか?」と聞かなければいけない。)
それで、まじめにすべてのお宅の呼び鈴を鳴らす事にした。
首に国勢調査員証を首にかけ、腕章まで付け(これはちょっと恥ずかしい)、「国勢調査」と書いた紙の袋を持つ。
まず、銀行の社宅へ。
ピンポーン。しーん・・・。ピンポーン。しーん・・・。留守か。お知らせをポストへ入れ次へ。
留守が多いが、たいていは奥さんが出てきてくれた。表札が出ていないところは名字を聞き、何日に訪問したらいいか尋ねる。社宅は一般的なアパートに比べ、たいていきちんと応対してくれる。
戸建の家は古い家が多いので、こちらもたいていすんなり受け取ってくれる。しかし、なかには・・・
例1 銀行の社宅で。
ピンポーン。・・・・ドアがそーっと少し開いた。男性がそーっとこちらをのぞく。
「国勢調査員のあーすです。お知らせを持ってきま・・・。」
「生協?いらない。」 バタン!とドアを閉められた。
セイキョウじゃないよ、国セイチョウ査だよ、全く!テレビでも国勢調査のCMやってるでしょ。
例2 アパートで
ピンポーン。・・・・ドアがそーっと少し開いた。男性がそーっとこちらをのぞく。
「国勢調査員のあーすです。お知らせを持ってきま・・・。」
バタン!目の前で閉まるドア。・・・・・何?私、何か怪しい押し売りに思われた?
仕方なくお知らせをポストに入れる。
例3 アパートで
ピンポーン。
「はい?」
「国勢調査員のあーすと申します。国勢調査のお知らせを・・・」
「要らねえ。(ブツ)」
「あの、これは全国一斉に行われる調査ですので、ぜひ皆さんにご協力をお願いしているのですが・・・。」
しーん。
仕方なくお知らせをポストに入れる。
例3 一戸建で
ピンポーン。・・・・・留守かな。
「あんた、何?」
突然後ろから声をかけられた。小さな子を二人連れた奥さんだった。
「国勢調査員のあーすです。お知らせを持ってきました。」
「国勢調査?なんでそんなの書かなきゃならないの。何を書くのよ?」
「お名前とか、床面積とか、・・・・」
「名前?なんでそんなもんを書かなきゃなんないのよ。統計取るなら名前なんかいらないじゃん。」
「あの、後で市役所から問い合わせをしたりすることもありますので・・・。」
「個人情報を守るって時代に、な・ん・で・そんなもん書かなきゃならないのよ。」
「あの、(二人の子供を見ながら)何歳くらいのお子さんがどのくらいいて、これから学校とかの教育環境をどう整えたらいいかとか、そういう資料にもなりますし・・・。(これでどうだ?)」
「ならいいけどさ。めんどくさいんでしょ、書くの。」
「あの、30分ほどで終わりますし、分からないことはこちらのコールセンターか、こちらの番号へ・・・」
「電話?だってお金かかるでしょ。なんでお金払ってわかんないこと聞かなきゃなんないのよ。そのためにあんたがいるんでしょ?」
こんな会話が10分以上も続いた。
日が暮れて辺りは真っ暗。あとは明日にしよう・・・。
ああ!こう言えたら!
「皆の者!この国勢調査員証が目に入らぬか!黙ってこの国勢調査票に記入するのじゃ!」
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