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ピリオドまでが長い英文と文法:その3
さて、先々週からの解釈問題の解説のラストに行きましょう。さすがに今回で終わります。
先週も、前もって文法知識を提示しましたが、今週も提示します。
(5)二重に修飾する関係代名詞
次の英文の意味が分かりますか?
(A)I know the thing that she thinks about now.
この文の that は目的格の関係代名詞です。(接続詞のthatではありません。手前を修飾するものです)
I know the thing (that she thinks about ● now).という関係です。
about のあとに本来は「●(目的語)」があったのです。
[熟語] think about ~ 「~について考える」…なわけです。この「~」が「目的語」と呼ばれるものです。
★She thinks about [目的語] now.
↑ この意味が「彼女は今[目的語]について考えている」
になります。
で、なくなっている [目的語] が、この手前の「the things」になります。
本来は「She thinks about [the things] now.「彼女は今[そのこと]について考えている」だったわけです。
これを踏まえて…
I know the thing (that she thinks about ● now).この英文は
[she thinks about ● now]が手前の thing(こと)を修飾しています。だから
I know the thing (that she thinks about ● now). の意味は
「私は彼女が今考えていることを知っている」になります。
では、↓これは?
(B)I know the thing that we must discuss.
この文の that も目的格の関係代名詞です。
I know the thing (that we must discuss ●).という関係で、
[we must discuss ●]が手前の thing(こと)を修飾しています。だから
「私は我々が議論しなければならないことを知っている」という意味になります。
では、↓これは?
(C)I know the thing that she thinks about now and that we must discuss.
(A)と(B)が重なっているような感じなのがわかりますか?
1つ目のthat のあとの[she thinks about ● now]は thing を修飾しています。
2つ目のthat のあとの[we must discuss ●]も↑と同じthing を修飾しています。
だから↓
I know the thing (that she thinks about ● now and that we must discuss ●).
↑この意味は 「私は、彼女が今考えていて、かつ、我々が議論しなければならないことを知っている」
となります。
以上を踏まえて、(残りを含めた)以下の課題文の訳例を考えましょう。
By the time I was thirteen or fourteen I began to try to know myself, the sort of person I was, what I could attempt successfully, and the things that I was no good at and that I must not waste time over.
先週までで、
「私が13歳か14歳の頃までに、私は、①私自身を、②私はどんな種類の人間なのかを、③私が上手く試みることができることを、そして④(あにゃらら)を知ろうと試み始めた」
でした。④(あにゃらら)の部分だけが残ってしまいました。では、④(あにゃらら)の解説w
the things that I was no good at and that I must not waste time over
お分かりでしょうか? 2つあるthatが見事に「(5)二重に修飾する関係代名詞」になっていることが。
the things (that I was no good at ●) and (that I must not waste time over ●)になっているのです。
・1つ目
I was no good at ● ここの意味を考えます。
まず、前回の「(2)時制のズレ」の知識を踏まえます。was と書いてあっても am と書いてあるような感じで訳例を作らなければならなかったですよね?
だから
I am no good at ● の意味は
○「私は●が苦手だ」
×「私は●が苦手だった」
です。これを踏まえて↓この意味は
the things (that I was no good at ●) ⇒「私が苦手なこと」となります。(「私が苦手だったこと」ではない!)
・では次。2つ目
I must not waste time over ● ここの意味を考えます。
ここも、前回の「(2)時制のズレ」の知識を踏まえます。was と書いてあっても am と書いてあるような感じで訳例を作らなければならなかったですよね?
もっとも must は現在形も過去形も must。意味に注意するだけになりますね。
つまりここでの I must not waste time over ● の意味は
○「私は●にかかわって時間をかけてはいけない」
×「私は●にかかわって時間をかけてはいけなかった」
となります。これを踏まえて↓この意味は
the things (that I must not waste time over ●)⇒「私がかかわって時間をかけてはいけないこと」となります。(「時間をかけてはいけなかったこと」ではない!)
・では1つ目と2つ目を合体させます。
the things (that I was no good at ●) and (that I must not waste time over ●)
この意味は⇒「私が苦手でありかつ私がかかわって時間をかけてはいけないこと」
となります。
これで④(あにゃらら)もできました。さあ完成です。全文をつなげると、
「私が13歳か14歳の頃までに、私は、①私自身を、②私はどんな種類の人間なのかを、③私が上手く試みることができることを、そして④私が苦手でありかつ私がかかわって時間をかけてはいけないことを知ろうと試み始めた」
となります。
これはこれで1つの正しい「直訳例」です。苦手な人はここまでさぞかし大変だったのではないかと思います。
私が苦手な人に教える場合、ここまでの訳例ができれば「満点」を差し上げます。(^^)♪
ですが、この訳例を得意な人が見たら、たぶんまだ納得しないでしょう。
まだまだ改良する余地があるのです。
ここでは4つばかり考えてみます。
まず、
「I began to try to know myself, the sort of person I was」
この部分の,(カンマ) について。
確かに前回やった 「(1),(カンマ),(カンマ)and の法則」の最初のカンマではあるのですが、これを別の文法事項である「補足的説明のカンマ」と取ることができます。
(6)補足的説明のカンマ
<例文>
He is Mr.Yasuo Fukuda, the Japanese prime minister.
(彼は福田康夫さん、(すなわち)日本の内閣総理大臣です/ 彼は日本の内閣総理大臣の福田康夫さんです)
Mr.Yasuo Fukuda=the Japanese prime minister という感じです。
“Mr.Yasuo Fukuda”と言っただけではピンとこないw。
“, the Japanese prime minister”と後ろにつけて、Mr.Yasuo Fukudaの詳しい情報を付け足しているわけです。
これを踏まえると
「I began to try to know myself, the sort of person I was」は
⇒「私は私自身を、すなわち、私がどんな人間であるかを知ろうと努め始めた」
になるのです。
あと3つ。例の④(あにゃらら)の部分です。
・the things that I was no good at and that I must not waste time over
ここの部分の意味ですが、さきほど「私が苦手でありかつ私がかかわって時間をかけてはいけないこと」としました。
これは間違いではありませんが、もうちょっと深く考えましょう。
[I was no good at the things]と[I must not waste time over the things]の2つ関係を考えると
「私が苦手なことだから、私がかかわって時間をかけてはいけないこと」になりはしないでしょうか?
なので、↓
「(私は)苦手だから私がかかわって時間をかけてはいけないこと」
といった意訳例ができるのです。
ここまでを踏まえて、全部をまとめると
「私が13歳か14歳の頃までに、私は、私自身を、すなわち私はどんな種類の人間なのかを、私が上手く試みることができることを、そして苦手だから私がかかわって時間をかけてはいけないことを知ろうと試み始めた」
となります。しかしまだまだまだるっこしい。
・意訳の1つのコツは「分かる主語は省略する」こと。
日本語はあまり主語をくどくど言わない言語なのです。↑の訳例は「私は、私が」が多すぎ!
省略しても意味が分かる範囲で取っ払ってみましょう。すると
↓
「13歳か14歳の頃までに、私は私自身を、すなわち私はどんな種類の人間なのかを、上手く試みることができることを、そして苦手だからかかわって時間をかけてはいけないことを知ろうと努め始めた」
となります。
だいぶいい感じになってきました。ですが、まだまだるっこしい。
だから最後に意味を汲み取った意訳例を作りましょう。
↓
「13歳か14歳の頃までに、私はいくつかのことを知ろうと努め始めた。それは、私自身のこと、すなわち私はどんな種類の人間なのかということ、また、何を上手く試みられるのか、逆に、苦手だからそれにかかわって時間をかけてはいけないことは何か、ということについてであった」
と、こんな感じでどうでしょうか? もっと上手い意訳例も当然考えられるでしょうが。(ここで書いたのはあくまでその1つの「訳例」に過ぎません)
さてさて、3回に分けて解説してみました。いかがだったでしょうか?
この英文について、色々書きたいことが本当はまだまだあります。
ですがあまりに長いので、それは私の日記に書きました。(こちらです)
この問題にチャレンジしてくださった方は、ご覧いただければと思います。
ではまた来週~♪
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