「不定詞」の訳例で、もう1つ「~」が役に立つ例をご紹介します。
(1)I have some friends to help me.
(2)I have some friends to help.
この2つの英文の訳例を作ってみてください。得意な人ならば2つともなんてことはないでしょう。苦手な人でも(1)はなんとかできると思います。問題は(2)なのです。
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(1)は「私は私を助けてくれる友達が何人かいる」です。良いお友達をお持ちのようです。
to help me は手前の名詞 some friends を修飾しています。
「私を助ける⇒友達」
というような具合です。
さて、問題は(2)のほう。me がないんだから「私を」を取っ払って
(2)は「私は助けてくれる友達が何人かいる」でしょうか? これだと(1)と意味の差がないように見えますね。
実は(2)は(1)と全く違う意味です。
(2)の正しい意味は「私は助けるべき友達が何人かいる」です。
to help は手前の some friends を修飾しています。
「助けるべき⇒友達」
というような具合です。
(1)も(2)も [to 不定詞]が手前の名詞を修飾している、という役割を担っています。これを「to不定詞の形容詞用法」と言います。
ただし表している意味は違います。
(1)は「私を助けてくれる友達」だから→「友達が私を助けてくれる」
という話。
(2)は「助けるべき友達」だから→「私が友達を助ける」
という話です。
(2)の判別が、特に英語が苦手な人には難しいのです。
実は、これも「~」が役に立ちます。
help の意味は何でしょう? 「助ける」? 違いますよ。正しくは「~を助ける」です。「~」は目的語でしたね。
(1)は I have some friends to help me. で、「~」の位置に「me」がある。要するに「目的語」がちゃんとある。
(2)は I have some friends to help.「~」の位置になにもない。要するに「なければいけない目的語が」が存在していない。
(2)の場合、help の目的語がないわけですが、実は「to help」が修飾している「some friends」が help の目的語になっているのです。「help some friends」(何人かの友達を助ける) という形がベースになっているのです。
●ルール
・to 不定詞 の後に「~」が欠けていて
・「~」をto 不定詞が(後ろから)修飾している(形容詞用法)場合
・そのto 不定詞の 意味は、原則「べき」になる。
という法則があるのです。
だから
(2)I have some friends to help.は「私は助けるべき友達が何人かいる」と出来上がるのです。
別の例を出しましょう。
I have the thing to do.
この英文の意味を考えましょう
do の後に目的語がありません。そして to do はその後ろの the thing を修飾しています。とすれば、ここの to の意味は「べき」です。
したがって、「私にはするべきことがある」という意味になります。
補足:「~」がない場合でこのような形容詞用法の場合、あくまで原則が「べき」なのです。「べき」という訳語ではなくても素直な訳例になるなら、必ずしも「べき」という訳語を使わなくても構いません。
例:I want something to drink.
原則通りの訳例→「私は飲むべき何かが欲しい」
→別の訳例「私は何か飲み物が欲しい」
この例なら「べき」なんか使わないほうが良い訳例だと思います。この「べき」になるルールはあくまで「原則」なのです
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