では2回目。今回は
(2)日本語に完了形に当たるものがない
(3)耳タイプの人は音声(聞き覚え)で判断しているせい(特に過去完了が正解に思えない)
この2つについてお話します。
(2)日本語に完了形に当たるものがない
今回はごく軽い一部の紹介です。私が毎回引き合いに出している例で恐縮ですが、次の2例を御覧ください。
a. He went to Osaka.
b. He has gone to Osaka.
2つとも日本語で訳例を考えてみましょう。
a. 彼は大阪に行った
b. 彼は大阪に行った
と、まったく同じでも間違いではありません。ところが、b. は「彼は大阪に行っている」としてもいいのです。なぜそんなことが起こるのか?
完了形のほうは複雑なのです。実は
a. He went to Osaka. 彼は大阪に行った…これは「彼が10年前に大阪に行った話」でも使える。10年前の話なので、【彼は今ここにいても何らおかしくはない】
b. He has gone to Osaka. 彼は大阪に行った…こっちは「彼は今さっき大阪に向けて出発して、とにかく【彼は今はここにはいない/彼がここにいたらおかしい】
という意味合いなのです。日本語の場合、こういう状況を「パチッと表現する言い方」がないのです。ところが英語にはそれがあるのです。現在完了形を使うのです。
このように「完了形には、日本語にはないけれども、英語では完了形でパチッと出せる意味合いがある」のです。こうした「日本語にはない表現」を完了形は持ち合わせています。こういうところにも完了形を難しく感じさせている一因があると思います。
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(3)耳タイプの人は音声(聞き覚え)で判断しているせい(特に過去完了が正解に思えない)
完了形が苦手な人は、↓こういう問題を良く間違えます。
問題:次の( )に入る適切な単語を選びなさい。
Someone( )already bought it by the time I went back to the store.
a.have b.had c.has D.will have
この答えはb.had なのですが、「b.だけはなさそう」と感じる英語が得意な人は実は大勢います。
長年謎だったのですが、最近その謎は解けました。
彼らは「音声(聞き覚え)で判断している」から
だったのです。
実は、過去完了形という時制の英文は、他の時制の表現に比べて、圧倒的に使用頻度が低いのです。つまり
「過去完了時制の英文に触れた経験が少ない」のです。
英語が得意な人(特に耳タイプ)は「聞き覚えで判断する」ことが多いのです。
彼らは例えば
Someone had already bought… 、Someone had already bought… うーん、なんか響きが変! だからこれは不正解だろう!
Someone has already bought… 、Someone has already bought… うん! こっちのほうが聞き覚えがある! 響きがいい! だからこれが正解だろう!
という具合に判断し、has あたりを正解として選ぶ英語が【得意】な人がたくさんいらっしゃるのです。
詳しくは後々やりますが、これは had が正解。hasは×。 得意な人が聞き覚えが少ないと思われる「had」しかこの場合は正解にならないのです。
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以上、前フリでした。
この続きは来週は
月曜日の予定です。
今週は金曜日はいつものニコ生英文法講義がお休みです。(再来週はあります)
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