ちびマルは夜、眠くなると、私の顔をじっと見る。そして、私がリビングを出ると、サーッと隣の布団の敷いてある部屋に行き、私の掛布団の上で毛づくろいを始める。
でも、私が行かないと、またリビングに戻って私の顔をじっと見る。2、3歩歩いて振り返り私の顔をじっと見る。次にリビングの入り口で振り返りお座りしてじっと私の顔を見る。
「あー、ちびマルちゃん。お母さんと寝たいのねえ♡」
と私が嬉しそうに言うと、ちびマルは、トトトと小走りしながら私を何度も振り返り、私の布団の上に行く。
「そんなにお母さんと寝たいの~?♡」
と、ちびマルの右頬に私の左頬を押し当てる。次にちびマルの左頬に私の右頬を押しあてる。
「じゃあ、ねんねしようね。ママにチュッ、チュッ。」
とお休みのキスをするのである。
抱くのはもちろん、触っても目が合っても唸るちびマルは、当然唸る。私の耳元で牙をむいて唸る。だから、この「ママにチュッ、チュッ。」は勇気がいるのだ。耳をを噛まれたらどうしよう、と一抹の不安が頭をよぎる。でも、私はちびマルを信じて「チュッ、チュッ。」をする。
そして私が布団に入り、
「ちびマル、こっちおいで。お母さんとねんねしよう。」
と言っても、決して来ない。私の足元の掛布団の上で毛づくろいをして寝るのだ。
ちびマルは2.5キロ。しかし、これが意外に重いんだなあ。
夜中、掛布団を引っ張っても動かない。寝返りを打とうとすると、何やら暖かい柔らかいものを蹴飛ばしてしまう。だから、私は足を縮めて寝る。そして、布団を引っ張れないので自分が布団の中に下がっていく。私はちびマル様のお布団に潜り込ませていただく形になっているのだ。
ある日の夜も、ちびマルは私を誘うように振り返りながら布団を敷いてある部屋に入った。私は洗面所で歯を磨きながらそれを見ていた。
ちびマルは私が来ないので、その部屋から顔だけ出した。
「可愛い♡。」
目が合った。ちびマルの顔が引っ込んだ。私は口をすすいだ。布団の部屋にまだ行かない。
ちびマルがまた顔をだした。今度は顔の半分だけ、片目と鼻を出し、私をじっと見つめている。
「わ♡ 1/2ちびマル!」
顔が引っ込んだ。次に顔を出すと、今度は片目だけだ。
「わ♡ 1/3ちびマル!」
また顔が引っ込み、次に出たのは、頬の毛と耳だけ!
「わ♡ 1/6ちびマル!」
さらに、両方の目が出た。でも、もう片方の耳は出てこない。
「わ♡・・・えと・・3/4ちびマル!」
ははは。そんなにお母さんに来てほしいの?♡ そう、眠くなってもお父さんを誘ったりしないものね♡
私はちびマルのところへ行き、お休みの「ママにチュッ、チュッ。」をして、布団に潜り込む。足を縮めて。
でも、もしかして・・・、ちびマルは私を布団の一部と思っているのかしら?
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