「天才」で思い出した。僕の知っている天才、直接のかかわりが無いのが残念ですけど。
ブラジル赴任時にホテルのレストランで、偶然ではあっても数字を知っていることの重要さを見せ付ける場面が描かれています。
日本人?日系のそろばん男が「そろばん一個でどんな計算も簡単に出来る」と宣伝をしながら売っていたようです。
ウェイターたちはその天才が、後にノーベル物理学賞を取るような物理学者とは思わないし、客が他にいないので、「相手をしてみろ」とすすめるんですね。
もちろん、そろばんは便利、持ち運びも容易だし、単純な計算ならホンとに速いし、そのうえでそろばんで計算をすることに加えて、数字の仕組み、暗算の訓練をすれば相当の計算が頭の中だけで出来ることも僕は知ってます。
さて、その物理学者はやはり足し算や引き算では、計算の速さでは負けます。ただ、相手が調子に乗って立方根を挑んだ… Raios cubicos!
Cube roots! He wants to do cube roots by arithmetic. It’s hard to find a more difficult fundamental problem in arithmetic. と書いています。
数年前に図書館で翻訳が出ているのを見かけて軽く驚いたけれど…翻訳本は読まない主義なので読んでいませんが、参考まで。
で、二人はホントにテキトーな数字 1729.03 を開き始める。そろばん男は必死でそろばんのビーズをはじいてるのに、この物理学者はただ座っているだけ。そもそも、1フィート(one foot)が12インチであることは米国人で物理をやっていれば自然に頭に入っているだろうし、1728 の立方根が12 であることから、12はすぐに出てくる。 この辺は僕も似たような経験があったので、推測も含めて書いているけれど、そろばん男が 1728 に近い数字を出したのはある意味、彼にとっての不幸の始まりだったろう。
そろばん男がさらに必死にそろばんの玉をはじいている間に、この物理学者は、ついでだから、12.0…、12.00384 とまで何もせず座っているだけで、答えを出してしまった。
この話は痛快で、リチャードファインマン博士も余程印象に残っていたようで、1729.03 という数字をはっきり覚えている、と書いています。
映画にもなったようでスクリプトがありました。このあたり読んで見ると面白いし、手元のペーパーバックとは少し違う場面設定になっています。
http://www.qedcat.com/moviemath/infinity.html
どうも、今、アマゾンの小窓に入れる為に google ってみたところ、ひょっとしたら原書は買わなくても読めるかもしれません。
他にも例を挙げれば枚挙にきりが無い(ホントは「枚挙に暇が無い」が正しいだろう)けれど、コーネルで教えているときに酔って喧嘩した時に、いつもの様に any questions? ではじめる講義を、喧嘩のときの調子で凄みを利かせて言ってみた。
絵なんか描けない、そう思い込んでいたけれど、太陽の電磁波のようなものが書ければ、と絵をならう、絵が描けるようになるとマッサージパーラーの主人から店に飾る絵を描くように頼まれ、その主人はやはり危ない筋の人であっても仲良くなる。
トップレスバーに通い、そういう店があっていいのかどうかの裁判では裁判官の質問の曖昧さに腹を立て 「acceptable をパーセンテージで示せ」とやりかえす(Caltech のプロフェッサーがトップレスバーに毎日の様に通っていると新聞にも出たと書いてます)。
日本にも来ていて、日本語の複雑さにあきれながらも日本語を学んだ過程、湯川秀樹博士と風呂に入ったなど、物理とは関係の無いエピソードが満載。(何々が満載←この表現は大っ嫌いです)。
なぜ、僕がこの本を持っているのかは全然わからない。物理が好きなわけでもない。ただ、こういう人物がいて、何事にも何らかの意味をみつけて、それに没頭し、学んだ事を何事にも応用する、その姿勢が好きです。
徴兵検査で「両手を出せ」と言われ、片方の手は手のひらを上にし、もう片方は反対にして出して、「Ph.D のようだが、どこで学んだ?」MIT and Princeton. You? ここで聞き返すか?フツー^^ でも、相手も答える... Yale and London. 笑えます。
ひょっとすると、マウスバード先生の師匠とにたところがあるのかな、と思いつつ急いで書いてみました。なので、若干の記憶違いはあると思います。その辺はお許しください。
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