ちびマルが入院した日の夜。
夫が帰ってきて言った。
「ちびマルのうなうな(唸り声)が無い・・・・・。寂しいよ。」
「明日10時に行くことになってるから。」
「僕も一緒に行く。」
「うん。今頃どうしてるのかな。寝てるのかな。」
翌朝、9時15分。
電話が鳴った。動物病院の番号だ。
え?どうしたんだろう。危ないのかな・・・・。
電話に出る。
「もしもし。○○動物病院です。ちびマルちゃん、退院ですので、お迎えに来てください。」
あー!良かった。すぐにキャリーを車に積んで家を出た。
9時20分。動物病院着。
受付の人が、私の顔を見てすぐに言った。
「ちょっと待ってください。」
少し待って、診察室に呼ばれた。
ちびマルがスタッフの人に抱かれていた。ちびマルがじっとわたしを見ている。
「ほら。お母さんが来たよ。よかったね。」
スタッフの人が私にちびマルを抱かせてくれた。喜ぶ様子でも無く、ただおとなしい。でも、うならない。ということはちびマルは一応嬉しいという事だ。
なんだか軽いな。こんなに軽かったっけ。
先生が言った。
「一応落ち着きました。呼吸も楽にしてるでしょ。でも、はっきり言っていつどうなるかわかりません。何かあったらすぐ来てください。薬は今飲んでいる3種類に、利尿剤を1種類追加します。今朝、薬を飲ませたので、薬は夜からにしてください。」
「分かりました。朝ごはんは食べましたか?」
「ほんのすこ~しだけね。」
家に連れて帰った。
夫はまだ寝ていた。
「お父さんを驚かせようね。」
ちびマルにそう言って、夫の所に連れて行った。
夫は布団の上で胡坐をかいて、ぼけーっとしていた。
「あれー。ちびマルちゃんだ。どうしたの。」
「退院でーす。」
私はちびマルを夫のすぐ前に下ろした。
「ちびマルちゃーん♡。おいで。」
夫は嬉しそうに言う。
しかし、ちびマルは目の前に何もないかのように、静かに方向を変え、隣のリビングへと静かに歩き始めた。下半身がよろよろしている。
「エー!ちびマルちゃん!行っちゃうの?」
じぇ!じぇ!じぇ!
「ちびマル。お父さんだよ。呼んでるよ。行っちゃうの?」
私も声をかける。
ちびマルは何も聞こえないかのように、静かに、ゆっくり歩き続ける。
「えーん!!ちびマルちゃんが行っちゃうよー!」
ついにちびマルの姿が消えた。
「あーん!行っちゃった(涙)。」
笑っちゃいけないけど・・・。
でも、おかしい。フフフ。
どんな時でも、ちびマルはちびマルなんだね。ハハハ。
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