mouthbird先生がウイルス性急性胃腸炎になったと読んで、数年前の事を思い出した。
娘が中学2年の9月末のある日の午後、学校から電話が来た。
「毛蟹さんが熱が少しあって体調が悪いので、お迎えに来ていただけますか?保健室のベッドが空いていないので、職員室のドアに一番近い机で休んでもらっています。」
私は急いで車で学校に行った。職員室のドアを開けた瞬間、すぐ目の前に、机に突っ伏してぐた~っとなっている娘がいた。
先生のお話では、熱が37度を超える程度だが、体がだるくてかなり体調が悪そうだと言う。数日後に英語のスピーチコンテストがあり、学校代表で出ることになっている。さらにその数日後からは定期テストが始まる。大事を取って今日はゆっくり休んでください、と言われた。
娘を車に乗せて家に帰る間、娘が職員室でくた~となっている間の事を話し始めた。
「あのね、力はいらなくて、ぐたーって机に突っ伏してたのにね、あそこの机、ドアを開けて目の前でしょ。いろんな先生が通るわけよ。それでね、みんなが、『あれ?どうしたの?具合悪いの?』っていうの。具合悪いからあそこにいるのにさ、でも、返事しないわけにいかないでしょ。だから、そのたびに顔上げて、『はい、ちょっと・・・・・』っていうと、『熱あるの?』とか、『お腹痛いの?』とか更に聞いてくるの。もう、放っておいて欲しいのに。
でね、ほら、あの社会のF先生も入って来たの。」
F先生は、ちょっと発音が独特で、例えば、「さ」は「すわ」、「け」は「くぅえ」と言う感じで話す。そしてなぜか毛蟹を結構気に入ってくださっているらしく、なにかと声をかけてくださる。
「で、F先生がね、『あれ?くぇがにさん、どうしたんですか?』って言ってね、『はい、ちょっと・・・・』って言ってまた、くた~ってしようとしたら、『大変だね。お大事にね。・・・・・ああ、今度のテストね、○○から××までの間をしっかりやってくださいね。それからね、△△から◆◆までもね。』って。『はい。ありがとうございます。』って言ったけど、心の中じゃ、『そんなこと、授業中に聞いたよー。てか、それ、範囲全部じゃないかー!もう、早く行ってくれー。一人にしてくれー。もう話しかけないでくれー。』って叫んでたの。
でね、やっとF先生が行ったと思ったら、校長先生も通ってね、『ああ、君か。毛蟹さんだよね。1月に学校休んで岩手の冬のキャンプに行ったんだったよね(当時の文部省が後押しし、葛巻市教育委員会が主催する2週間のキャンプで、学校の出席扱いにしてもらえるよう私が校長先生に交渉した)。』って話しかけてきたの。だから、顔上げて、『はい。』って言ったんだけど、今、そんな話しなくたっていいじゃない?こっちは具合悪いんだからさ。『お願いだから話し終わりにしてー。一人にしてー。ほっといてー。』って心の中で思ってるわけよ。それなのに更に、『君、英語のスピーチコンテストに出るんだってね。どんなスピーチするの?もう、準備は万端?』とか聞くの。
『はい。イソップの話ですけど、まだ完全に暗記していないので、ちょっと・・・・。』って言ったんだけど、もう、『Leave me alone!』って心の中で叫んでたよ。」
スピーチコンテスト①
http://q-eng.com/diary/5629
コメント