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高二の娘との会話 22・・・・クローンの逆襲 Attack of the Clone
私は娘がお腹にいる時、毎日話しかけた。
「いい?顔はお母さんに似るのよ。絶対お父さんに似ちゃだめよ。苦労するからね。かわいいお母さんに似るのよ。」
「いい?性格はお母さんに似るのよ。お父さんに似ちゃだめよ。お父さん暗いからね。」
「いい?髪の毛もお母さんに似るのよ。お父さんに似ちゃだめよ。お父さん天然パーマのくるくるだからね。」
「いい?頭の良さもお母さんに似るのよ。お母さんの方が頭がいいからね。お父さん頭固いし。」
「いい?運動神経もお母さんに似るのよ。お父さん運動神経鈍いからね。お母さんならバッチリだからね。」
「いい?とにかくお母さんに似るのよ。かわいく生まれてくるのよ。」
そうして、娘は生まれた。
生まれた時から私に瓜二つと言われた。
母の声が聞こえていたらしい。
残念ながら運動神経だけは父親に似てしまった。
しかし、私そっくりの人間ができても意味はない。
それでは進化を望めない。
ま、運動神経くらい目をつぶろう。
その分、どこか進化しているろう。
中学に入って毛蟹は吹奏楽部に入った。
1年生の5月。
クラブのPTA会があった。
先生からクラブのことについて説明があり、その後、新入生も参加して演奏を親たちに披露するのである。
初めてクラブの先生にお会いした。
名前を名乗らないうちに先生がおっしゃた。
「毛蟹さんのお母さんですね。」
「はい。(あれ、なぜわかったのだろう?)」
その後、クラブの先輩が娘にこう言った。
「あー!毛蟹ちゃん、お母さんが来てるよ。」
私はクラブに顔を出すのは当然初めてだ。
(あれ、なぜ先輩の子が私の顔を知っているのだろう。)
別の日。
毛蟹の忘れ物を毛ガニの下駄箱に入れようとしていた時、先生と思われる方にお会いした。
軽く頭を下げて私は帰った。
毛蟹が家に帰ってきて言った。
娘 「忘れ物を届けに来た時、S先生にあったでしょ。」
母 「・・・・!ああ、あの先生ね。やっぱり先生だったのね。」
娘 「先生ね、お母さんが見えてたわよって言ったの。名前を言ったの?」
母 「ううん。言ってないよ。頭下げただけ。あれ、何で毛蟹の親だってわかったのかな。」
授業参観に行ったとき、私が教室に入ると教室がどよめいて何人もの子が私を振り返った。
毛蟹が帰ってきて言った。
「みんなにね、毛蟹が私服着て入ってきたかと思ったって言われたの。すっごく嫌だった!!! みんなにね、ドッペルゲンガーって言われたの。嫌だよー!」
私が車で学校に行った時、娘がこう言った。
「今ね、友達がね、私が車に乗ってるのかと思ったって言われたの。すっごく嫌だった!!! みんなにね、私、お母さんのクローンだって言われてるの。嫌だよー!」
ある日、駅に毛蟹を迎えに行ったとき、毛蟹が笑いながら車に乗り込んだ。
母 「どうしたの。何笑ってるの?」
娘 「今さ、運転席見て、自分が乗ってるかと思っちゃった!」
主人も私の両親も私たちの後姿を見てよく間違える。
声もそっくりだ。
私の友人の電話に毛蟹が出ると、友人は絶対に私だと思って話し出す。
母も私だと思って話し出す。
高校に入ったある日、毛蟹が言った。
毛蟹 「あのね、おばあちゃんのお茶のお弟子さんのEさんから電話があったよ。」
母 「替ってくれればいいのに。」
毛蟹 「だって、「いつもお世話になっております』って言ったら、『あ、あーすさんですか』って言って、ダーって話し出すんだもん。違うって言う暇なかったの。」
母 「で、何だって。」
毛蟹 「今度のおけいこお休みしますって。だから、『はい、わかりました。では、そのように母に伝えておきます』って言っておいたよ。」
母 「・・・・・ありがと。」
毛蟹 「間違いなく、『母に伝えた』からね。」
また、別の日。
毛蟹 「今ね、お母さんに電話がかかってきたの。」
母 「え、誰から?」
毛蟹 「化粧品のセールス」
母 「あ、断ってくれたのね。」
毛蟹 「うん。あのね、奥様ですかって聞かれて面倒くさいから、『はい、そうです』って言ったの。」
母 「それで?」
毛蟹 「お化粧品は今何をお使いですかって聞かれたから、(ちょっと気取った声で)『あ~、今~、いろいろ試供品をもらって試しているので~、全然買ってないんです~。まだたくさんあるので買う予定もありません。』って、適当に答えといたよ。確かしょっちゅうネットで試供品を請求してたでしょ。」
わー! 母になり済まして、母の生活を暴露するな!
この演技力が君の進化なのか?
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