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earth-riseさんの日記

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2009年
07月22日
10:59 earth-riseさん

高二の娘との会話 39 ・・・毛蟹娘の育て方・実践編 「登山はいつも危険。だから、娘よ、山へ行け!」

去年、娘の毛蟹は高校に入り、すぐ山岳部に入った。
しかも、伝統のある、かなり強い部である。
運動系の子ではないので、意外な選択だった。


去年の7月、娘が言った。
毛蟹 「ね、お母さん。今度の山行だけど、私、行っていいのかな・・・・。」
あーす 「・・・・?どうして?いつも山行には行ってるじゃない?一度も行っちゃいけないって言ったことないよ?」
毛蟹 「・・・・・今度行くコース、数週間前に遭難事故があったじゃない?あれとまったく同じコースなの。」
あーす 「・・・・・・?・・・・・・ああ、・・・・そういえば・・・・ある高校山岳部の引率の先生が、岩が崩れて亡くなったという、あの事故?」
毛蟹 「うん。そう。」
あーす 「だから?」
毛蟹 「だからね、同じ1年の男子ね、親が危ないから行っちゃいけないって反対してね、行かないの。」
あーす 「ふーん。・・・まあ、そういう人もいるだろうね。」
毛蟹 「だからね、うちも反対するかなって思って。」
あーす 「で、毛蟹は行きたいの?行きたくないの?」
毛蟹 「そりゃ、行きたいけど。」
あーす 「じゃあ、行けば?」
毛蟹 「お母さんは心配じゃないの?」
あーす 「あのさ~、人が死んでない山なんてどこにもないんだよ。奥多摩だって人がたくさん死んでるんだよ。っていうか、学校に行く途中の電車や道路の方がよっぽど死亡率高いじゃない。そんな事言ってたら、山どころか学校にも行けないよ。」
毛蟹 「そうだけどさ・・・・・」
どうやら、毛蟹、母が全然娘の心配をしていないらしい、と不満のようだ。
これはまずい。
これは誤解を招く。きちんと説明しなくては。


あーす 「そりゃ山に行くのは危険だもん。心配しないわけじゃないよ。でもね、心配だから何処にも行かせないって、お母さんは間違ってると思う。」
毛蟹 「・・・・・・・」
あーす 「お母さんはね、親の役目は、子供が一人で生きていけるように育てることだと思ってるの。だから、大人の目がある範囲で、危険だっていう事もたくさん経験しておくべきだと思う。どう準備したら危険を回避できるか、もし危険な目に遭ったら、その時どう対処するか、それって、親が代わりに経験するわけにいかないんだよ。自分で経験して対処方法を身につけなくちゃいけないんだよ。山に行くのはとてもいい経験だと思うよ。いつも危険と隣り合わせで、生死にかかわる危険もある。危険かもしれないと思ったら、すぐに判断しなくちゃいけない。自分のことだけ考えてる訳にいかない。お父さんもお母さんも、そういう経験をさせてやれないもん。」
毛蟹 「・・・・・・・」
あーす 「いつも顧問の先生が、すごく口うるさいって言ってるよね。そう言ってくれる人と一緒に山を経験するって、多分今しかないと思う。すごくありがたい事だと思うの。だから、今できる経験をたくさん積んで欲しい。」
毛蟹 「・・・・・・」
あーす 「心配だから子供を危険なところに行かせないで、自分の傍に置いておくってね、それは単に、親が安心していたいだけだと思うよ。でも、それは本当に子供の為になるとは思えない。親が安心することは、子供の人生とは関係ないよ。お母さんはね、将来毛蟹が一人でもきちんと考えて、危険に対処して生きていける方がずっと安心できる。」
毛蟹 「・・・・・」
あーす 「わかる?」
毛蟹 「うん。」
あーす 「だからね、親が心配するだろうから、自分がしたい事を諦めるなんて、しちゃいけないよ。親が心配するのは勝手にやっていることなんだから、気にしなくていいんだよ。」
毛蟹 「うん。・・・・分かった。・・・・・お母さん、ありがとう。・・・・・・・・」


そして8月、毛蟹はそのコースで山へ行った。
行っている間、すぐ近くの山で遭難事故があった。
うーん。携帯にメールでも送るべきか?
でも別の山だしな。警察からも先生からも連絡ないからな。
せっかく親から離れて羽を伸ばしているのに、下界から
 「 大丈夫?怪我してない?お母さん心配よ。」
な~んて重いメールが来たら、ウザいよね。
ま、やめておこう。


そして、水曜日。
映画を見ようとネットでチケットを購入。
あ、もう時間が無!。急いで出なくちゃ!
と、その時!
ちゃらちゃらっらら~らら~・・・・・ 携帯から軽やかな曲が・・・・電話だ。
むーーー!誰だ?こんな時に?
あらら、毛蟹からだ。
どうしたこんな時間に?まだ山の上のはず。
あーす 「あれー?どうしたの?山から電話してきたことなんかないのに。」
毛蟹 「あー。あのさー。」
あーす 「(ちょっとー。何のんびり話してるのよ。)何?怪我でもした?」
毛蟹 「あー。うん。怪我したけど、大したことない。あのさー、先生が家に電話しろって。」
あーす 「なんで?」
毛蟹 「ほら、遭難事故があったじゃない?場所違うけどさ。」
あーす 「ああ、あれね。山違うし、先生からも警察からも事故に遭ったていう連絡ないから、別に心配してなかったよ。」
毛蟹 「・・・・・・・あ、そ。  ・・・・・先生がさ、親が心配してるだろうから、って。」
あーす 「あ、大丈夫。それで、他に?」
毛蟹 「別に。それだけ。」
あーす 「あ、そう。あのさ、 映画見に行くから、もう出ないといけないの。だから、切っていい?」
毛蟹 「・・・・何見るの?」
あーす 「スカイクロラ」
毛蟹 「それ、もう見たんじゃない?」
あーす 「見に行ったら、地震があって雷落ちて停電になって、上映中止になったの。あの、ホントに間に合わないから。切るよ。じゃあね、楽しんできてね。」
切ろうとする携帯から毛蟹の声が聞こえてくる・・・・。
毛蟹 「あのさー、うちの親ったらさ、これから映画見に行くから切るって・・・・、まったくさー・・・・・」


数日後、毛蟹が山から帰ってきた。
毛蟹に聞いてみた。
あーす 「あのさ、遭難事故があって、友達には、家から電話とかメールとか来てたの?」
毛蟹 「来てたよ。 大丈夫?って。」
あーす 「お母さんは、毛蟹は大丈夫だって信じてたから。それにウザいでしょ?せっかく楽しんでるのに下界から親のメールが来るって。」
毛蟹 「まあ、そうだけどさ。」


先週、北海道の大雪山系で遭難死亡事故があった。
ニュースを見て娘が言った。
毛蟹 「そりゃ死ぬよ。無謀だよ。1日10時間歩くなんて。プロだって1日6時間が限度だって言うもん。勿論重装備だけどさ。私達だって基本的に4時間から6時間しか歩かないよ。しかも雨で強風でしょ。先生がいつも言ってるもん。『引き返す勇気』って。」
あーす 「パーティーの人たちがバラバラになって遭難するってあるの?」
毛蟹 「考えられないよ。私達なんて多いと40人くらいいるじゃない?人数多いと大変だけどさ、誰かが脱落しそうになったら、すぐに伝言飛ばすもん。強風だったらザイル使うもん。あの人たち、ザイル持っていかなかったのかな。ガイドが持っていくはずだけどね。」
たった1年3か月だけれど、毛蟹は山での危険は一応考えられるようになった。
ま、この1年余りの間、毎回擦り傷切り傷。無傷で帰ってきたことはほとんどないが。おかげで両手両足にそれぞれの山行の時の傷が残った。
毛蟹 「これは夏山。これは秋山。こっちは梓川。こっちはガレ場。」
毛蟹よ、まあ、青春とは傷つくものさ。

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コメント

1番~10番を表示

2009年
07月22日
13:33
さん

1:

kalmia のコメント:
はじめまして、よいお話ありがとうございます!

うちの息子はまだ小学生ですが、やはり山が好きで夫と重い装備で出かけます。

先日の、あるキャンプの集合場所には親が荷物を運んであげる中、彼はやはりすべて自分で背負って参加しました。

甘ちゃんだけどその辺の自覚がついてきたのかな〜山のおかげだなと思っていたところにearth-riseさんの投稿を大きく頷きながら読まさせていただきました。

2009年
07月22日
15:34
さん

2:

過保護過ぎず放置しすぎぜ、あーすさんは素敵なお母さんですね。毛蟹ちゃんも可愛い

2009年
07月22日
17:42
さん

3:

うんうん、そうだよね~、と納得しながら読みました。 といっても私は育て方を間違ったかな、とずっと思ってきましたので、決していい親じゃありません。 21歳になった息子を見て、もう私の役目は終わったと思うぐらい自立しているように、育てるはずだったのに。 う~ん、ほんとに子育ては難しい。 ひどい親と思われるかもしれませんが、よそ様のきちんと成長したお子さんを見るにつけ、自分を責めたり、失敗した、なんて思ったり。 (失敗作なんて、息子に失礼なのは百も承知ですが)これからも私の苦難の道は続きそうです。涙目

2009年
07月23日
00:54
マーサさん

あーすさん、上手に子育てしてらっしゃいますね。

毛蟹ちゃんも しっかりしてる。

最初の子っていうのは ついつい いろいろ口出してしまって・・・

反抗期だったし 

今思えば  いい思い出ですが・・・  

2009年
07月23日
10:11
さん

5:

kansha のコメント:
毛蟹ちゃん、頼もしいですね。

山岳部は重い荷物をしょって山を登らなきゃいけないから、

かなりハードですよね。でも、その分、

肉体的にも精神的にも、成長できるかもしれませんね。

心配しながら、そっと見守るのって、大変だと思います。

あーすさんも、いいお母さんですね。

2009年
07月23日
18:29
luminさん

earth-riseさん、はじめまして、こんにちは♪

フレンドさんの拍手でやってきました^^

毛ガニちゃんほどたくましくはありませんが、

みょーに打たれ強いところもある、高3の娘がおりますので、

楽しく読ませていただきました、ありがとうございます♪



でも・・・なにゆえ、「毛蟹」ちゃん??

2009年
07月24日
00:43
minaminumaebiさん

あーすさん、なんてたくましいおかあさん!素晴らしいですね。

私もフレンドさんの拍手からです。

娘さん、山岳部をチョイスされるところが、素晴らしいですねえ!「女だから、重いものは持たない」とか、そんなルール通用しない過酷な世界に自ら飛び込んでいく潔さ!

(そこがまず違うわあ、、、うちと。)

こんなシッカリした方にもらって頂きたい、うちの息子。






2009年
07月24日
04:24
earth-riseさん

kalmiaさん

はじめまして。

コメントありがとうございます。

息子さん、素晴らしいですね。

山登りって人生と同じですよね。自分のものは自分で責任をもたなくちゃいけない。たがいに必要なものは分け合って持たなければならない。互いに助け合わなければならない。

それを理屈ではなく、体で覚えていく息子さんが素晴らしいです。そして、それを体験させていらっしゃるご主人とkalmiaさんも素晴らしいですね。




レンさん

私、怠け者なので、適当に子育てしているだけです。

母には、「あんたって冷たい母親ね。娘が心配じゃないの?」と、よく言われます。でも、心配しつづけるほどの根性がないんです。だから、素敵でもなんでもないんです。省エネ子育てなんです。




hiroisoraさん

子育てに成功も失敗もないと思います。というか、成功か失敗かは、その子が人生を終わってみないと分からないと思います。

親が見ているこの20年前後の状態じゃ、判断できませんよね。此処からオオバケするかも知れないし。

株みたいですが、子育てなんて株と同じですよね。投資して、様子見て、得した損したって騒いで、でも、結局これからの事は予測できない。特に今の時代は。

何が正しい子育てなのか、誰も正解を出した人はいませんよね。だってこれほど色々な子育て法が言われているっていう事は、誰も成功していないっていうことでしょう?

その子には、その子の事を考えてくれる母親がした子育て法が一番なんですよ、きっと。

私の友達にはスピリチュアル関係の人が多いのですが、その人たちが言うのです。子供はみんな自分でお母さんを選んで生まれて来たんだって。

本当かどうか分かりませんが、それなら選ばれた母親は、自分の子育て法を我が子に望まれたんだって、そう思えばいいんじゃないですか。だって、自分の方法しか私達には出来ないのですから。

だから、hiroisoraさんは、息子さんにとっては素晴らしいお母さんなんですよ。息子さんだって、他の人から見たら素晴らしいお子さんなんだと思いますよ。親ってどうしても冷静に子供の事を判断できませんからね。

2009年
07月24日
04:45
earth-riseさん

marthmomさん

娘は一人っ子なので、小さい時は何もかも不安で、もうすごく口だししましたよ。また、手のかかる子だったので余計そうでした。

でも、段々大きくなると、もう面倒臭くなって、成るようになるさ、という感じです。子育て、上手でも何でもないのです。

こんな親ですから、かえって子供の方が色々我慢したり、気を使っているようなところがあります。思い切って爆発しちゃって欲しいのですが、ものすごい反抗期ってなかったので、それが心配です。

他の方にはどう見えていても、どんな親子でも、それぞれに問題を抱えているのです。でも、だからこそ、親子でいる価値があると思います。




kanshaさん

はい。毛蟹、たくましいです。全然痩せられません。たくましいデブに成長しています。困っています。

精神的にも、色々他の人の事を考えなくてはいけないので、それなりに大変だと思います。でも、今のうちに大変な経験をしておかないと、社会に出て潰れちゃいますからね。これもありがたい経験です。

>心配しながら、そっと見守るのって、大変だと思います。

こうおっしゃるkanshaさんは、優しいお母さんなのですね。

私は、娘が山から帰る日を忘れちゃうような母親なので、「心配しながら、そっと見守」ってないんです。。「心配しないし、見守るのを忘れちゃう」母親なんです。

 全然いい親じゃないんです。

2009年
07月24日
05:02
earth-riseさん

luminさん
コメントありがとうございます。
毛蟹は、たくましそうで、結構打たれ弱いのです。
娘に、「艱難汝を玉にす」、「若いうちの苦労は買ってでもしろ」という言葉を教えたら、毛蟹、こう答えました。
「玉になんか、ならなくていいもん。」
「苦労なんか買いたくないよ。」
軟弱な娘なんです。ヘニョ ヘニョ ヘニョ


minaminumaebiさん
娘のいる山岳部って、変わり者の集まりで有名なんですって。話を聞いていても、みんな女を捨ててるし。男子も確かに、変わっているというか、面白いというか。
潔いとか、そういうイメージとは程遠いですね・・・・。もう、男女の区別もありませんし。
ま、周りの目を気にしていたら、命がけで(???)山なんか行けませんけどね。
こんな変わり者の娘でよければどうぞ。

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