さて、「~」の効用の真打です。私がつまづいた最大のポイントを紹介します。
次の英文の意味はなんでしょうか? 日本語の訳例を作成して欲しいです。
英語が苦手な人ほど、これはできません。
I know the boy she loves.
単語はさほど難しくないはずです。しかし私は中学・高校時代、この手の英文はいつも誤訳していました。これがちゃんといつでも誤訳しなくなるまでに、私は10カ月はかかりました。
1・私はその少年が彼女を愛していることを知っている
↑これが一番ひどい訳例です。関係詞がまるで分かっていない証拠。
2・私は彼女
を愛している少年を知っている。
↑これが2番目にひどい訳例。関係詞を適当にしか理解していない証拠。ちなみに私は昔、こういう訳例ばかり作っていました。
3・私は彼女
が愛している少年を知っている。
↑これが正しい訳例。
どうかすると2の3の区別がつかない人もいます。昔「同じじゃないかー!」と私に怒鳴った生徒がいました。
2は少年が彼女を愛している話。彼女がその少年を愛しているとは限らない。
3は彼女が少年を愛している話。その少年が彼女を愛しているとは限らない。
このように2と3は意味が全然違います。
これは「関係代名詞目的格の省略」を使った英文なのです。「関係代名詞目的格」というのがそもそも「~」が分かっていないとまるでダメになるのです。
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I know the boy she loves.
関係代名詞目的格の省略があるので、まずは省略しない英文に戻しましょう。
I know the boy whom she loves.
このように正式には whom を入れます。(口語なら who でも可)
この英文は、解説用には↓こんな風にいつも私は印をつけます。
I know the boy(whom she loves ●).
● ←これが「~」に当たる部分です。love の意味はなんでしょう?「愛している」でしょうか? 違います。love は他動詞です。だから正しくは「~を愛している」です。今回の英文の「~」にあたる単語は何でしょう? loves の右はなんとピリオド。「~」がないではないですか!
本来はあったはずなのです。実は今回の「~」は the boy なのです。ここは she loves the boy. という英文が下地になって出来上がっているのです。
ここから先は、説明が長くなりすぎるので、過去記事を利用しましょう。
↓こちらをご覧ください。(2)が該当します。
https://www.alc.co.jp/beginner/article/mouthbird/2008/08/...
↑今見たら、この記事に訳例が書いてないですね。
↓ここでようやく訳例が出ています。
https://www.alc.co.jp/beginner/article/mouthbird/2008/08/...
そして、関係代名詞の目的格は省略できるので
I know the boy whom she loves. は whom を取っ払って
↓
I know the boy she loves.
となるのです。
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英語が苦手な人の場合、この「関係代名詞目的格が省略された英文」というのが最大の敵です。必ず誤訳します。これを直すためには「~」がいるのかいらないのかを知っていなければならないのです。
金曜日の夜11時からはいつものニコ生英文法講義です。次回は来週の
月曜日です。
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