「偏見」でぱっと思いつく単語は prejudice とか bias とかですが、他にもいろいろあるようなので、いつものように英英辞書で調べてみます。
■偏見(先入観)を持つという意味の言葉、表現
prejudiced [adjective]
having an unreasonable dislike of someone or something, especially a dislike of a group of people who belong to a different race, sex, or religion - used to show disapproval
⇒誰かあるいは何かに対して理由の無い嫌悪を持つことで、特に異なる人種、性別、宗教に属する人々に対するもの
weblioの例文検索でも一番みつかる単語です。
理由なく不当に嫌悪を持つ。特にひっかかるところはありません。
prejudice [noun] なら「偏見」
biased [adjective]
1. unfairly preferring one person or group over another
2. more interested in a particular thing than in another
⇒他者よりも不公平に誰かやグループを好む(選ぶ)こと
⇒特定のものに対して他のものよりも興味をもつこと
おお、これは新しい発見です。
不公平に誰かを好きなのが biased ということだそうです。
ということで、日本語の「偏見」や英語の prejudiced (不公平に嫌う) とは意味が違うんですね。
ただ、preffering されなかった方の人達にフォーカスすると、それは偏見をもたれているということになります。
また、使い方の面でも、"prejudiced/biased against ○○(←「偏見」の対象)" とか "prejudiced/biased mind" といったように prejudic(ed) と置き換え可能な関係にあります。
というわけで、 bias(ed) に「偏見」という日本語をあてると丸く収まる、ということだったんですね。
bigoted [adjective]
having such strong opinions about a group of people that you are unwilling to listen to anyone else's opinions
⇒誰の意見も聞きたくなくなるほどに、あるグループに対する強い意見を持っている
偏見を持つ人が聞く耳を持たない様子を表すのが bigoted、ってことでしょうか。
bigot [noun] は「偏見を持つ人(=聞く耳を持たず、偏狭)」と言う意味。
preconcieved [adjective]
preconceived ideas, opinions etc are formed before you really have enough knowledge or experience
⇒preconceived な考え、意見などは、十分な知識や経験なしに形作られたものである
情報や経験が不足した状態で形成された(ゆえに偏見であろう)という点に重点を置いた表現が preconceived ってことですね。
誰(何)に対する偏見かは問われていませんし、好きなのか嫌いなのかについても制限はなさそうです。
jaundiced [adjective]
thinking that people or things are bad, especially because you have had bad experiences in the past
⇒人々や物を良くないと考えることで、特に過去の悪い経験が原因となっているもの
自分の経験に基づき何かを悪いと考えるということで、 preconceived とは一線を画していますね。
根拠があって悪いといっているわけですが、まあ、広い意味では「偏見」に含まれるとしてよいかと。
distort [verb]
1. to change the appearance, sound, or shape of something so that it is strange or unclear
⇒何かの見た目や音、形が変化し、奇妙にあるいは不明瞭にすること
歪めるという意味の動詞です。
distorted とすれば「歪められた⇒偏見を持った」という形容詞になります。
さて、使い分けの例として、娘さんから外国人の彼氏と結婚したいと言われて反対するお父さんを想像してみました。
実は過去に海外で悪い輩に酷い目にあわされた経験をもつお父さんは、外国人に対して jaundiced で distorted な意見を持っています。
さらに、bigoted で聞く耳を持たなかったので、その彼氏が実はとてもすばらしい人格者であることを知るチャンスもなく、悪いやつに違いないという preconceived な意見を持っています。
そのうち、日本人ならどんなやつと結婚してもいい(が外国人はだめだ)という biased な発言まで出る始末。
一方外国人の彼は、単純に彼女のお父さんは外国人はダメという prejudice、あるいは日本人は良いという bias を持った人なんだろうなと感じている。
とまあ、こんな感じでしょうか。
■偏見が無いという意味の言葉
fair [adjective]
1. a fair situation, system, way of treating people, or judgment seems reasonable, acceptable, and right [≠ unfair]
2. treating everyone in a way that is right or equal [≠ unfair]
⇒fair な状況、仕組み、人々の扱い、あるいは判断は根拠があり受け入れることができ正しい
⇒全ての人を正しく同等の方法で扱う
open-minded [adjective]
willing to consider and accept other people's ideas and opinions [≠ narrow-minded]
⇒他の人々の考えや意見を検討し受け入れようとする
detached [adjective]
1 not reacting to or becoming involved in something in an emotional way
⇒感情的に反応したり関わったりしない
なるほど、偏見が無い状態といっても、
・好き嫌いで態度を変えず同等に扱うという意味
・他者の意見を積極的に受け入れる態度を持つという意味
・感情的に好き/嫌いといった態度を出さないという意味
といろいろありますね。
使い分けたいものです。
最後に、偏見について普段考えていることで英作文してみます。
Those who are proud of their unprejudiced mind sometimes overlook the biased view they have against those who have prejudice.
⇒偏見を持っていないことに誇りを持っている人は、時に、偏見を持つ人に対する偏見を自分が持っているということを忘れることがある。
#斜字は LDOCE より抜粋
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