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earth-riseさんの日記

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2011年
07月31日
13:42 earth-riseさん

スピーチコンテスト④ ウイルス性急性胃腸炎 3 ついにコンテスト

  • その他
 病院でウイルス性急性胃腸炎と診断され点滴を打った翌日、毛蟹の熱は多少は下がったが、39度を境に行ったり来たりを続けていた。
 下痢も止まらなかったので、OS-1を飲ませ、下痢止めも飲ませた。明日の朝までに下痢が止まらなければコンテストには行かれない。
 やはり起き上がるのもつらく、一人で歩くのは大変そうで支えてやらなければならない。
 病院に行き、また点滴を打ってもらった。そのおかげか、午後からは少し熱が下がり38度台になった。だが、何も食べられないし、スピーチの復習なんてとてもできない。
 毛蟹に、
「明日、休む?学校には様子を連絡しなくちゃならないから電話するけど?」
と言うと、毛蟹は
「明日は行く。」
という。コンテストは団体賞もあるので、一人でも欠けるとまずいらしい。
 学校に電話して、担当の先生に毛蟹の様子を話すと、
「無理しないでください。明日は様子を見て、朝連絡をください。他の生徒は(他に4人いた。)学校に集合して、教頭先生と私の車で会場に行くんですが、なんでしたら現地集合でもいいですよ。会場は××公民館です。」
とおっしゃった。
 その公民館は友人の家の近くで、大体の場所は分かる。我が家からは余裕を見ても30分ほどだ。
「親が行ってもいいんですか?」
と伺うと、
「もちろんですよ。部屋の後ろに椅子が置いてありますから、そこで見学できますよ。御心配でしょうから、ずっと付き添っていただいて結構ですよ。」
とおっしゃった。
 とにかく、明日に備えて、今日は静かに寝かせるしか方法がない。
 
 翌朝、毛蟹の熱は38度5分あたりを行ったり来たりを繰り返していた。下痢も何とか止まったようだ。とりあえず、一人で歩けるようになったが、目の前がくらくらすると言う。それでもコンテストに行くと言う。
 コンテストは午後までかかるのでお弁当を持っていかなければならない。が、何も食べられないので、ヨーグルトとOS-1を食べさせることにした。
 朝8時半に現地集合と言われていた。ゆっくり運転することを考えて1時間前に家を出るつもりだった。
 我が家の車はステーションワゴンだったので、後ろの座席を倒し、布団を敷き、毛蟹を寝かせた。毛蟹はフラフラしていて、着替えにも、車に乗るのにも予想外に時間がかかってしまい、出発したのが40分前になってしまった。
 何とか集合時間に間に合い、毛蟹をスピーチ会場の部屋に連れて行った。この部屋の2年生全員のスピーチが終わるまで、お昼を挟んで約4時間。その間、椅子にじっとすわっていることができるだろうか。起き上がることもつらいのに。

 スピーチが始まった。暗記した物語を3分以内でスピーチする。あがってしまって言葉に詰まったり、忘れてしまって最後までできない子もいた。とても上手な子が何人もいた。ゼスチャーも付け、まるでお芝居をしているようだった。よほど先生方に鍛えられてるんだろうな、と思った。英語は米語でとても速くて、何を言っているか私にはわからなかった。
 審査員は3人のネイティブだった。私の近くに関係者らしき先生が座っていて、時々メモを取っている。上手な子には何か書きこんでいる。
 毛蟹の名前が呼ばれた。
「はい。」
 毛蟹は普通に歩いて行って部屋の前に立った。他の人には、毛蟹が熱があってふらふらしているなんて見えないだろう。
 毛蟹はスピーチを始めた。大きな声だった。途中1回、つかえたが、それ以外は順調に、3分以内に終えた。あの体調でよく最後まで頑張ったな、練習できなかったのに良く忘れてなかったな、と思った。あの先生が、何やらメモを取っている。何を書いているのだろう?
 毛蟹は椅子に戻り、そのまままたちゃんとすわっていた。具合が悪かったら途中から車で寝かせようと思ったが、毛蟹は最後まで頑張って座っていた。
 午後のスピーチも終わり、結果発表と閉会式になった。毛蟹は上位6位には入らなかったが、団体で6位に入った。先生が、
「毛蟹さんが出てくれたおかげで6位になれたのよ。本当にありがとう。」
と、言ってくださった。
 他の生徒は学校に戻るのだが、毛蟹はもう体力的に限界だったので、そのまま私の車で横になって帰ることになった。「ゆっくり休んでね。あ、これが毛蟹さんの表彰状よ。」
と、先生から英語で書かれた表彰状を渡された。
 車の中で毛蟹に、
「よく大丈夫だったね。座ってるの辛くなかった?」
と聞くと、
「つらかったよ。気が遠くなりそうだったよ。でも、みんなちゃんと座ってるのに、机に突っ伏してるわけにいかないもん。」
「お昼は少しは食べた?」
「うん。ヨーグルト少しだけ。途中でお腹痛くなったらどうしようってすごく心配しちゃった。」
「練習してなかったのに良くできたね。」
「うん。もうね、頭くらくらしててね、なんか、自分が何言ってるかわからなかった。」
「そんな風に見えなかったよ。まあ、とにかく良かった。」

 家に帰って毛蟹はすぐ寝てしまった。私は渡された封筒から表彰状を出して見てみた。先生が急いで渡してくださったので、毛蟹の名前も中学校の名前も書かれていなかった。きっと先生は、学校でそれらを書き入れて渡すことになっていたのだろう。

 その表彰状は、名前が書かれていないまま、今も我が家にある。
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コメント

1番~4番を表示

2011年
07月31日
15:14
aki.akiさん

素晴らしい話ですねー!!

表彰状の話も、いい逸話に思います。

2011年
07月31日
15:21
ぞえるさん

ふ~む、大変でしたね、毛蟹さん。
zoelもディベートをやってたので、大勢の前で発言することがどれだけ疲れるか知っています。
健康な状態のときですら、どもりそうになってましたよ、はい。。。
毛蟹さんにあっぱれ。

2011年
07月31日
17:48
aki.akiさん

追加。
OS-1って、近所のドラッグストアにもありました。知らなかったのですが、家族いわく、「最近、よく売ってるね・・」と、earth-riseさんの日記を読んだ人が、また買って、更にポピュラーになる予感です。

2011年
08月07日
07:32
piechanさん

OS-1 友人の薬剤師が薦めてくれて イザという時用に5本購入してた。

あぁ、こうして人の役にたつんだなぁ、
毛蟹ちゃん よかったねー
責任感で気合いで 乗り切ったんだよね。
おめでとう。

あーちゃんも 毛蟹ちゃんも 素晴らしいです。^^
良いお話をアリガトウ(涙)

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