smart.fm で更新してきた、旧チャンネルブログの文法問題をお届けします。
今週は解答編です。
参加して下さった皆様ありがとうございました。それでは解答と解説に参ります。
問題:次の意味を表す英文として、正しいかどうかを判定してください。なお間違いと判定しても、適切に直す必要はありません(提示していただいても構いませんが…)
彼がその問題を解くのは簡単だ
It is easy that he solves the problem.
解答:間違い
解説
たいていの英語ができる方なら、「おかしくね?」ってすぐ分かります。ただ「it is 形容詞+that SV~」なんていくらでもあるから、一瞬「あれ? いいのかな?」と思うかもしれませんが。でもすぐに「いや駄目だろう!!」って思いなおすでしょう。
でも、昔の私みたいな英語アンポンタンには「形があってんだからいいんじゃね?」と思い、なんの疑問も湧かなかったでしょう。
たいていの英語ができる方なら、
「この英文はおかしい。 It is easy for him to solve the problem. だろう」
と分かると思います。
この英文は、「it for to 構文」と言います。
it is for 人 to do ~ 「人がdo~することは形容詞だ」
という意味を作ります。ポイントは for him のところ。him と書いてあっても「彼を」や「彼に」という意味にならず、「彼が」と【主語】のような意味になります。この場合【彼が】【do ~】する、という意味になります。こういう for him の部分を「(to不定詞の)意味上の主語】と呼びます。
一方、「It is 形容詞 that SV~」は「it that 構文」と呼ばれます。
it is 形容詞 that SV~ 「SがVすることは形容詞だ」
となります。it for to 構文とよく似てますね。
だから両者は素直に相互交換できるか…というと実はそうではないのです。
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【使い分け】
「~が」をとっても成り立つ場合→「it for to 構文」
「~が」をとっても成り立たない場合→「it that 構文」
日本語で考えてみます。
1・あなたが英語をマスターすることは簡単だ
2・あなたがこの花瓶を壊したことは明らかだ
どちらも日本語の構造はよく似てますね。では「あなたが」を取っ払ってみましょう。
1’・英語をマスターすることは簡単だ
2’・この花瓶を壊したことは明らかだ
1は問題ありませんが、2は「誰が壊したか」が書いてないと不十分だと思いませんか?「明らか」って言われても「誰が」が入っている内容まで含んで「明らか」としないと、変になるでしょう。
ここはそういう違いなのです。したがって
1は It is easy for you to master English.
2は It is clear that you broke this vase.
になります。
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●なんでそういう違いが出るか
実は「仮定」か「事実」かの違いなのです。
to不定詞のほうは仮定、that節のほうは事実なのです
1・It is easy for you to master English.
こっちは→「あなたが英語をマスターする」ってことは、仮定なのです。まだマスターしてない。
2・It is clear that you broke this vase.
こっちは→「あなたがこの花瓶を壊した」ってことは事実なのです。あなたは花瓶を壊しています。
仮定のほう( to不定詞)のほうは、「誰が」の部分は誰でもいい。
あなたが英語をマスターする→ならば⇒ for you to master English
彼が英語をマスターする→ならば⇒ for him to master English
彼女が英語をマスターする→ならば⇒ for her to master English
誰でもいい。と言うことは、仮定のほうは for ~を取っ払って
It is easy to master English. という「it to 構文」にすることが可能です。
ところが事実の場合、困ります。「他の誰でもなく、あなたが花瓶を壊している」という事実でないと困ります。
2の文を無理やりit to 構文にすると
× It is clear to have broke this vase.
にでもなるでしょう。これは「誰が壊したか」が分からないので、何がclearなのかがはっきりしないのです。
つまり、
仮定の場合→主語がなくてもおかしくないが
事実の場合→主語がないとおかしくなる。
のです。
したがって、
仮定の場合→主語を明示しなくても使える it for to 構文を使うべき
事実の場合→主語を明示する it that 構文を使うべき
ということになるのです。
ゆえに
「~が」をとっても成り立つ場合→「it for to 構文」
「~が」をとっても成り立たない場合→「it that 構文」
と言うことができます。
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もちろん、これは形容詞の性質によります。
・easy や difficult などは「仮定の話」に見解を述べる時に使われる形容詞
・clear などは「事実」に対して見解を述べる時に使われる形容詞
ということになります。
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●両方使える場合
ここまでくると「両方使える場合(両方使える形容詞)ってないの?」という疑問が生じると思います。
例えば、出典元には impossible は両方使える、という説明が載っていました。
ただし、impossibleは、仮定と事実で「意味が異なる」と出典元ではしています。
仮定の場合の impossible は「不可能だ」
事実の場合の impossible は「ありえない」
になるとしています。そして、it for to構文と、it that 構文を使い分けています。
出典元の例文を挙げます。
It is impossible for him to master it.
(彼がそれをマスターすることは不可能だ≪マスターしようとしても・仮定≫)
It is impossible that he ate it.
(彼がそれを食べたということはあり得ない)
という具合です。
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以上になります。普通習わないルールですよね。いかがだったでしょうか? それではまた来週~。
問題編
http://q-eng.com/diary/21839
出典 大矢復 英作文講義の実況中継
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