さて、ようやく高1の具体例を出せます。これはつい先日まで私の生徒さんだった高1の話です。極々平均的な高校の生徒さんですが、「大学受験コース」に入られました。
私が最初の授業を見たとき、この生徒さんは「英検4級がやっとであろう」という感じでした。
で!
使用する英語の教科書を見て愕然としました!
三省堂のCrownI(クラウンI)だったのです。
こちらの3ページ目をご覧ください。
http://www5d.biglobe.ne.jp/~chujo/data/Koukoutext.pdf
各科目延べ語数を見てください。
例えば、開隆堂のEnglish Now I ならば、1996語です。
ところが三省堂のCrown I ならば 6916語です。
同じ高校1年生用の教科書でありながら、延べ語数は実に3倍以上の開きがあります。
つまり、
三省堂のCrown は「れっきとした?進学校」が使う教科書なのです。要するに「英語が得意な人向けの教科書」です。「英検4級がやっとぐらい」のような「英語が苦手な生徒向けの教科書」ではないのです。
ただ、誤解のないように言うと、Crownシリーズを高校3年間やっても「一流大学の合格に必要な読解量には足りない」でしょう。一流大学であれば、もっと多くの英文を読む必要があります。
⇒まさにそのせいで、「英検4級がやっとぐらいの生徒」でも「この教科書」をやらされているのです。
その高校が進学実績を上げたいからです。
この生徒さんと「ほぼ同じレベルの生徒さん」がこの高校には在籍しているわけです。つまりこの学校の高1のこのクラスのほぼ全員が「英語が苦手」と言っていい。
ほぼ全員が授業についていけるわけがない。
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定期テストがもちろんあります。問題が易しいのかと言えばそうではない。平均点は30点台だったそうです。こうなると、生徒さんのクラスは「英語の授業が成り立たなくなる」
生徒さんに、英語の授業の様子を聞いたらこういう返事でした。
↓
「英語の授業は荒れている。みんなくっちゃべっている。誰も先生の話を聞いていない」
↑こういう状態だそうです。
それでも定期テストはあります。さらに、夏休みともなれば「
鬼のように多い、難しい宿題」が出されます。一人じゃとてもじゃないけど、何が書いてるのか全く分からない。
⇒この学校で、これでまともに英語の学習ができるとお思いでしょうか? こういう現状があるのです。
今回は、英語ができない生徒の視点で考えてみました。ここを読んで下さっている皆様は多分ピンとこない話だったのではないでしょうか?
次回は、英語ができる高1さんの視点で考えてみようと思います。(もちろん彼らは困っていません。念のため)
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金曜日の夜11時からはいつものニコ生英文法講義です。次回は来週の
月曜日です。
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