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意味では区別できない「形容詞の問題」その1(解答編)
こんにちは。旧チャンネルブログの流れを汲む日記の水曜日がやってきました。
今週は解答編です。
今回もたくさんの皆様にご解答いただきありがとうございました。
今回のテーマは「形容詞」でした。
1つどうしても気になったことがあります。今回の表題はなんだったでしょう?
●意味では区別できない「形容詞の問題」
です。
さらに、私が問題編で「ヒント」として書いたことはなんでしょう?
●これらの問題は全て「意味では区別できない形容詞の問題」です
と書きました。
にも関わらず、全体的に、特に(4)の問題を「意味で答えを出そうと試みている」方が大勢いらっしゃいました。
私は「意味では区別できない形容詞の問題」と声高に叫んだつもりですが、それでも「意味」で区別なさろうとする方が大勢いらっしゃいました。英語ができる方は、「これらは意味では区別できない問題です!」と私がいくら言ったところで「どうしても意味で考えてしまう人がいらっしゃる」と思いました。
もしくは「私の言葉に信用がなかった」のかもしれません。(ToT)俺って信用ないのカナ…
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今回のテーマは
「人を主語にしない形容詞」
「ふつう人しか主語にしない形容詞」
というものでした。
意味? そんなもの全然関係ありません。
●「人を主語にしない形容詞」
possible (可能だ)、impossible(不可能だ)、neccessary(必要だ)、convenient(便利だ・都合が良い)、dangerous(危険だ)、difficult(難しい)、easy(易しい)、pleasant(愉快な気持ちにさせる)、delightful(非常に楽しい)、
といったような形容詞は、人を主語にしません。
(※ただし、例外的に、↑これらの形容詞でも「tough構文」の場合、人を主語にできる。例文 ⇒He is easy to please. 彼は喜ばせるのにたやすい。<please 「~を喜ばせる」の目的語がない>)
☆こういうのは、該当の形容詞を辞書で引けば、詳しく説明されています!
例えば
I am difficult to solve the problem.
という英文は、主語が I (人)です。その補語がdifficult。
difficult は「人を主語にしない形容詞」なので、これは間違った英文です。
この英文を直すなら、例えば
→It is difficult for me to solve the problem. (私がその問題を解くのは難しい)
とします。
これは 「it for to 構文」と呼ばれる構文を使っています。
※<It for to 構文>「It be 形容詞 for 人 to do ~」⇒「人がdo~するのは形容詞だ」という意味を作る構文。(例文であれば「 me が solve the problem するのは difficult だ」という意味を作ります)
It is difficult for me to solve the problem.
この文の場合 difficult の主語は it です。difficult は「人」を主語に出来ませんが、it は「人ではない」です。よって「正しい」とされます。
簡単に言えば、例えば
He is difficult. …間違い!
(difficult は「人」を主語に出来ないのに、人が主語だから)
That is difficult. …正しい!
(difficult は「人」を主語に出来ないが、人以外が主語だから)
です。
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●「ふつう人しか主語にしない形容詞」
逆に
happy(嬉しい)、sorry(残念だ)、pleased(喜ばしい)、surprised(驚きだ)、able(可能だ・切望している)、unable(不可能だ)、capable(能力がある)、incapable(能力がない)、anxious(心配だ)、eager(熱心だ)、ready(準備が出来ている)、willing(~してもかまわない)
といったような形容詞は、ふつう人しか主語にしません。
☆こういうのは、該当の形容詞を辞書で引けば、詳しく説明されています!
例えば
It was happy for him to get the pokemon.
という英文は、主語が It (人以外)です。その補語が happy。
happy は「ふつう人を主語にする形容詞」なので、これは間違った英文です。
この英文を直すなら、例えば
→ He was happy to get the pokemon.(彼はそのポケモンを手に入れて嬉しかった)
とします。
He was happy to get the pokemon.
この文の場合 happy の主語は He です。happy は「人」しか主語に出来ません. He は「人」です。よって「正しい」とされます。
簡単に言えば、例えば
He was happy. …正しい!
(happy は「人」しか主語に出来ない。そして人が主語だから)
That is happy. …間違い!
(happy は「人」しか主語に出来ないが、人以外が主語だから)
です。
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以上を踏まえて、先週の問題の解答と解説に参りましょう。
(出典:英文法・語法のトレーニング〔戦略編〕風早寛著 増進会出版 / 大学入試英語 上級者のための正誤問題の解法 加東憲吉著 文芸社)
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問題
(1)( )に入れて正しい英文になる選択肢を選びなさい。
"I will see you at six this evening. Will( )?"
1.you be convenient 2.be convenient for that
3.be that convenient 4.that be convenient
(慶応大)
正解:4
解説 まず「 covenient(便利だ・都合が良い)」は、人が主語になれない形容詞。この段階で、主語が「you」の1は消える。次に2だが、2を選ぶと、主語がなくなってしまう。よって2も違う。
あとは
3.Will be that convenient?
4.Will that be convenient?
どちらが正しいかの問題。「Will ~?」で尋ねる疑問文は、will の次に主語が来るに決まっている(例 Will you do it? それをやってくれるかい?)。
したがって、Will の次に that という主語がある4が正解と分かる。
訳例:今晩6時に君に会いに行こう。それで都合は良いかい?
―――
(2)( )に入れて正しい英文になる選択肢を選びなさい。
He was( )to buy a new compact disc.
1.anxious 2.difficult 3.impossible 4necessary
(梅光女学院大)
正解:1
解説 今回の英文の主語は He で人。今回の選択肢は anxious だけが人を主語に出来る。他の形容詞は全部「人を主語にできない」。ただそれだけで正解は1と導ける。
訳例:彼は新しいCDを買うことを切望していた
―――
(3)( )に入れて正しい英文になる選択肢を選びなさい。
Since Nancy has been practicing very hard, she is very( )to win the game.
1.easy 2.likely 3.pretty 4.probable
(慶応大)
正解:2
解説 1のeasy はtough構文であれば人を主語に出来る。しかし、win の目的語はちゃんとあるので、これは tough構文ではない。したがって1は消える。
4の probable は 「it is probable that ~」の形でしか使わない。「人」を主語に出来ない(辞書を引いてみよう。そのように書いてあるはずである)。
3の prettyは「かわいい」という意味でさすがに文意に合わない。ここだけは意味で区別する。likely は人を主語にできる。(probable と違って、It is likely that ~ の形に出来ない。辞書を引いてみよう。そのように書いてあるはずである)
訳例:ナンシーはとても一生懸命練習してきたので、その試合にたぶん勝つだろう。
―――
(4)次の英文は「日本人の視力が弱いことは有名です」という意味として書かれた英文である。この英文は文法上正しいかどうか、その正誤を判定しなさい。もし誤りであると判定した場合、文中の1語のみを別の単語に替えなさい。
It is famous that the Japanese suffer from poor eyesight.
(南山大・改)
正解 間違いあり。famous を well-known に変える。
解説 これはものすごく難しい問題。もっとも 辞書で famous を引いて「細かく見た」のならば、解答はたやすい。
例えば、サンライズクエスト英和辞典にはこうある。
>〔語法〕「彼が優れた医者であることは有名だ」に対し、famous を使って
> It is famous that he is a good doctor.
>とするのは誤り。
> famous は it is ... that ... の構文で使えないので、famous に代わって well-known を使い、
> It is well-known that he is a good doctor.
>のようにする。
つまり、意味ではなく
「famous は it is ... that ... の構文で使えない」
というルールにより、famous を well-known に変えるのである。
またジーニアスの famous の説明文中には次の記載がある。
> It is well-known〔×famous, ×notorious, ×infamous〕that Japan produces good cars.>= That Japan produces good cars is well-known〔×famous, ×notorious, ×infamous〕.
> 日本はすぐれた車を生産することで有名だ
famous はもちろん、notorious も infamous も「it is ... that ... の構文で使えない」のである。
したがって、答えは「famous を well-known に変える」となるのです。
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今回、皆様には、(4)のような難問の対策はともかく、
形容詞には
「人を主語にしない形容詞」
「ふつう人しか主語にしない形容詞」
といったものがあることを、この機会に覚えていただければと思って問題を作りました。
(もちろん、主語が人だろうが物だろうがOKの形容詞もありますよ。念のため)
いかがでしたでしょうか?
次回もまた形容詞の問題です。次回も
「意味では区別できない形容詞の問題」
を出題します。
今回意味で考えた方も、次回こそは「意味ではなく」、「形容詞の役割」で、お答えいただければと思います。
ではまた来週。
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