・英語が得意な人の多くは例文を覚えるのがたやすく、応用を利かせられる。英語が苦手な人ほど例文を覚えるのが苦手。覚えられないうえ、恐ろしく苦しむ
私が高校生1年生の頃、私は人生で最も過酷な時期を迎えていた。
私にとっては地獄の苦しみをもたらす英語の授業があったからだ。
それは「英文を暗唱させて英文を言わせる授業」であった。私がこれが全くできなかった。同級生たちは休み時間の間にちょびっと練習して、すぐできるようになっていた。しかし、私は友達の5倍は時間をかけても、ほとんど覚えられなかった。当然、その授業で、私は課題の英文を暗唱できなかった。毎授業、毎授業、先生(英語教師N)からは「なんで勉強していない!」と怒鳴られまくった。竹刀で尻を叩かれたこともある。今でもよーく覚えている。この暗唱の授業ほど嫌な授業は私には存在しなかった。この授業の先生…「
教師N」は私が今現在でも最も憎んでいる英語教師である。
私が英語が得意になった後の話。大学生で小さな塾で英語を教えていた時のこと。私はある大発見をした。それは「
英文をたやすく覚えられる人が存在する」という事実である。
その塾での休み時間でのこと。ある英語が成績優秀な生徒さんが単語帳を取り出し、一生懸命「単語記憶」をしていた。彼はその時ポロっとこう呟いた。
「
単語の意味を1語1語覚えるのって難しいなあ」
私はびっくりした。この生徒は相当英語が成績が良い。その彼でも単語を1語1語覚えるのは大変と感じているのか、と思った。私はてっきり「この生徒は単語を1つ1つ楽にサクサク覚えられる脳みその持ち主」と思っていたからだ。しかし本人は「違う」と言うのだ。
そして次の彼のセリフに私は驚いた。
「
英文を丸ごと覚えるだけだったら楽なのに…」
私はたまげた。私は彼に尋ねた。「えっ!!!! 単語1語の意味を覚えるより、英文を覚えるほうが楽なの?!」
彼はこう答えた。「はい。
英文だけ覚えるほうがはるかに楽ですよ^^♪」
長年の謎が解けた瞬間だった。
私が最も憎悪している「
教師N」はおそらく、
彼と同じ脳みそを持っていたのではないか? つまり「N先生も彼と同じく<英文そのものを覚えるのが簡単>だったのではないか? だから教師Nは私を「こんな簡単なことができない
私を<ただ勉強のしていないやつ>とみなした」のではないか?
その後の研究で「
彼らの多くは英文を覚えるとき、意味はほとんど気にしないで覚える」…という方法を取っていることを突き止めた。「意味を重視する私」には到底思いつかなかった考え方であった。
今までにいろいろな英語の先生に出会ったが、「例文で英語を覚えましょう」と主張する先生にそれなりに多く出くわした。このように主張する英語の先生は<意味はどうでもよいので、意味よりも英文そのものを覚えるのが簡単>というタイプで、そうやって英語の実力を伸ばしてきたんだな、、、と私は思うようになった。今のところこれは私の中では「確信」になっている。
一方私はどうか。私は覚えた例文などほとんどない。私は例文を覚えにくい脳みそのようなのだ。代わりに英文法はサクサク覚えた。例文を覚えにくい人は文法のほうが覚えやすいと思っている。「例文なんざろくすっぽ覚えなくても、文法をやれば英語は得意になれる」…というのを私は証明したつもりである。
私は高校時代は文法をほとんどやらされず、できもしない英文暗唱ばかりやらされた。英文を暗唱できたのであれば役に立ったであろう。しかし私は全くできなかった。できなかったのだから、ほとんど役に立ってない。高校時代のあの地獄の日々は私にとっては「無駄な時間」以外の何物でもなかった。いや無駄というか、拷問の時間だった。暗唱の勉強をいくらしてもできなかったので、英語教師Nから「勉強していない」と決めつけられ、ひっぱたかれ、殴られてきた地獄の日々であった。その後
私がどんなに英語ができるようになっても依然として英語が大嫌いなままなのは、暗唱ができないので教師Nに怒鳴られまくられた英文暗唱授業と無関係ではないだろう。
金曜日の夜11時からはいつものニコ生英文法講義。次回来週の
月曜日です。
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