今週から新しいシリーズを始めます。久しぶりの「文法を学ぶお話」です。
完了形をテーマにして今回はお届けします。
実を言うと、私は完了形に全く苦手意識がないのです。ところが、英語を教えているとき、
完了形を苦手としている人に多く出くわしました。しかも、英語が得意な人に「完了形が苦手な人が多い」ことが分かってきました。
最初、私は大いなる勘違いをしていました。「私みたいな英語できらずでも完了形は苦手意識がないのだから、まして英語が得意な人たちが完了形ごときでつまづくハズはない!」と私はずーっと思っていました。
ところがどっこい!
けっこう英語ができる人でもボロボロ完了形を間違う姿を見てきました。しかしそういう間違った姿を見ても私は長い間「たまたまだよね」と思ってきました。しかし「そうでもない」ということがここ数年でようやくわかりました。
そこで今回は完了形をテーマにしてシリーズを作ってみようと思いました。
最初に2回に分けて前フリをします。なぜ「得意な人でも完了形を苦手としている人が多いのか?」
→この理由ですが、私は「以下の3つがその理由」ではないかと現在は思っています。
(1)そもそも時制が苦手(耳タイプに多い)
(2)日本語に完了形に当たるものがない
(3)耳タイプの人は音声(聞き覚え)で判断しているせい(特に過去完了が正解に思えない)
今日は(1)だけ話として取り上げます。
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(1)そもそも時制が苦手(耳タイプに多い)
「英語の意味は大体あっていればいい」と思う人に多いのです。
例えば
I live in Tokyo.(私は東京に住んでい
る)
と
I live
d in Tokyo.(私は東京に住んでい
た)
この区別がそもそもしにくい人たちがいらっしゃいます。
「意味の差なんてほとんどないやんけ!」としか思えない人たちが実は数多くいらっしゃいます。
「
確かに時制は違うんだろうけど、主な意味は分かるんだから、ええやん! 」と認識し、
この区別をしたがらない人がいます。
しかし、これは区別しなければならない大きな差なのです。
例えば、
あなたの話し相手が「I live
d in Tokyo.」と言ったとします。
その返事としてあなたは
「Oh! I will go to Tokyo to meet you!」(あなたに会いに東京に行こう!)
と言うのはどうでしょうか?
ダメですよ。会話として不自然! 今、東京に行っても、この人、今東京に住んでいませんから。
基本的に
I live in Tokyo.(私は東京に住んでいる)は「現在時制(今の話)」なので
「今も東京に住んでいる」という話。
一方
I lived in Tokyo.(私は東京に住んでいた)は「過去時制(昔の話)」なので
「今は東京に住んでいない」という話です。
だからこの人は今は東京に住んでいない。だから
今、東京に行っても無駄なんです。
時制が苦手な人は↑こういう感じで「時制でつまずく」のです。「だから時制は難しい! 難しいから嫌だ!」 と感じるようです。
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このようにつまずくと、彼らはどう考えるか…
●こういう時制の区別を嫌がってしたがらない→【時制の区別を意識しない・区別して考える練習をしない】
あるいは
●【主な意味は合っているから大した間違いではない】と思い込む。下手をすると、「間違っている」のに「合っている」と思い込む
彼らは↑こうなってしまいます。こうなると彼らはどんどん「
現在形と過去形の区別をしないで間違えまくる」のです。その結果、
時制が苦手になります。
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さて、話を
完了形に戻します。
ただでさえ「現在形と過去形の区別をしなくなっている人」が「現在完了形」や「過去完了形」に出くわした場合、どういう反応を示すでしょうか。
彼らは現在と過去の区別がしにくいのです。まして<過去と現在のその中間のような「現在完了」>の区別はまずできない のです。だから彼らは完了形が苦手になりやすいのです。
あ、そうそう。耳タイプの人は「現在完了」や「過去完了」などが認識しにくい【
もう1つの理由】がありました。
耳タイプの人は「現在完了」や「過去完了」という単語を【耳(音)】で覚えているのです。これが認識しにくい原因です。
例えば「現在完了」という言葉がありますよね。
この「現在完了」を「げんざいかんりょう」という「1つの言葉」だと思ってしまうのです。
分かりにくいかもしれませんねー。
・「現在完了」を「げんざいかんりょう」と認識し、
・「現在(の要素を持った)」と「完了」を分離して考えないのです。
「歩道」を「ほどう」と認識し
「歩(く人のための)」と「道」を分離して考えない…みたいな感じです。
こういうふうに「現在完了」を「【現在】と【完了】」に分離して考えられない人も、完了形は苦手になります。
こういったことに耳タイプはなりやすいです。だから「耳タイプほど完了形が苦手になりやすい」と思っています。
次回は、
(2)日本語に完了形に当たるものがない
(3)耳タイプの人は音声(聞き覚え)で判断しているせい(特に過去完了が正解に思えない)
この2つについてお話します。金曜日はいつものニコ生英文法講義。この続きは来週の
月曜日です。
(↓目次はこちら)
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