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mouthbirdさんの日記

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2026年
06月24日
16:43 mouthbirdさん

ネイティブの功罪7/英語学習の核心⑮

ネイティブに習ったせいでむしろ英語で落ちこぼれた話。

・ネイティブに英会話を習う
・できれば幼少期からネイティブに英会話を習う。

↑これを英語教育の理想と考えている人は大勢いるだろう。むろんこれでうまくいく人はそれなりにいるのだろう。だが、上手くいかない人もいるのだ。今回はその話をする(ホンマは、もしかしたら上手くいかな人の方が多いのではないか? 誰か統計取ってくれないだろうか…と私は考えている。)

 ある過去の生徒の話をしよう。かなり昔のことだ。私の塾に、入塾相談にやってきた一人の男子高校生がいた。彼のバックグラウンドを聞いて、私はひっくり返りそうになった。

・小学校入学前まで、イギリスに住んでいた。
・父親は英語がペラペラ、母親も片言だが英語が話せる。
・小学校から高校まで、ずっとネイティブが先生の英会話スクールに通わされていた。


 これだけ聞けば、世間の「ネイティブ至上主義者」たちはこう言うだろう。「環境は完璧だね!さぞかし英語が得意で、ペラペラなんでしょう!」と。

 現実は、真逆だった。彼の学校の英語の成績は、見るも無残な「ひどい赤点状態」。じゃあ英会話ができるのかと言えば、全く喋れない。親に無理やり通わされていた英会話スクールでは、ただ座っているだけの、苦痛な時間を何年も過ごしていた。英語ペラペラの父親も、ネイティブの講師も、彼の前でお手上げだった。困り果てた彼が、ネットの海から私を見つけ出し、塾の門を叩いたのだ。

 当時はまだ、私自身も「音派・意味派」という明確な概念を発見してはいなかった。しかし、今から振り返れば、彼は間違いなく「バリバリの意味派」だったのだ。

 周りの大人たちは、彼に「ネイティブの音」を浴びせ続ければ、いつか英語が染み込んでできるようになると盲信していたと思う。いわゆる「音派」の勉強法を、意味派の彼に強要していた。

 意味が分からない音の洪水を何年も浴びせられた彼は、脳がすっかり拒絶反応を起こし、英語が大嫌いになっていた。

 私は彼に対し、とにかくガチガチに英文法を教え込んだ。

 前回私は、ネイティブは「英文法不要論」を主張しやすい、と述べた。なぜなら彼らのほとんどは「英文法を知らない」からだ。ネイティブのほとんどは英文法なんか知らず、知らないから教えられないのである。

 私はネイティブが教えらえない英文法にこだわった指導をした。文法に則った英文の「正確な意味」だけにこだわった。日本語として多少不自然であっても、文法のルール通りに正しく訳せていれば、私はそれを「正しい(大正解)」と判定した。
 彼に課したのは、徹底的な「訳例づくり」であった。文法をイチから学びながら、リーディングではノートに自力で日本語訳を書いてもらう。そして、その訳を私が一つ一つ、細部まで丁寧に直していく。そんな作業をひたすら繰り返した。

 この作業を「泥臭くてつまらない」と思う人がいるかもしれない。もしあなたが音派ならそれは正しいだろう。しかし意味派要素が強い人であればあるほど、それは間違いだと言える。この作業、最初こそ間違いだらけで、辛いが、途中から「楽しい」のである。「泥臭くてつまらない? とんでもない! どんどん間違いが直ってむしろ楽しい」となるのである。
 証拠がある。実はこのやり方で私は教えることが多いのだが、これで上手く行く人は例外なく「この作業を止めたくなくなる」のである。私の指導は、ある程度ノートを使った訳例直し作業を重ねてもらうのだが、途中でこれを辞めてもらうのだ。しかし上手くいっている人は例外なく「えー、もう書かなくていいんですか? 止めたくないんですけど」と不安がるのである。

 音をほぼ無視し、英文法に則ってひたすら適切な意味だけを追求するこの指導は、彼の脳に見事にハマった。すると、どうなったか。

 これまで何年ネイティブと過ごしてもビクリとも上昇しなかった彼の英語の成績が、めきめきと上がり始めたのだ。英文法という「説明書」を手に入れ、パズルのように英文を紐解けるようになった彼は、ものすごい勢いで力をつけていった。そして入塾から2年後、彼は見事に同志社大学への合格を勝ち取ったのである。

 どれほど恵まれたネイティブ環境にいようが、両親がペラペラだろうが、本人が「意味派」であれば、音だけの環境はただの拷問であり、障害でしかないのではないか?

 意味派の彼が、英語を通して本当の笑顔を取り戻すために、ネイティブの存在は1ミリも必要なかった。それどころか、彼にとっては余計で、邪魔なものでしかなく、そのせいで彼は何年もの間、ずっと苦しみ続けていたのだ。

 意味派の彼が英語で笑顔を見せるために真に必要だったのは、ネイティブの力などではなかった。むしろ、多くのネイティブが毛嫌いし、教えることのできない「英文法力」だったのである。

 もしあなたが、今ネイティブのレッスンを受けていて、あるいは英会話教材の音を聴いていても、ちっとも英語ができるようにならないと悩んでいるなら、あなたは意味派かもしれない。そうならばあなたは自分を責める必要は一切ない。あなたはただ、あの同志社に受かった彼と同じ「意味派」なだけだ。もしあなたがこれに当てはまるならば今のあなたに必要なのは、洗練されたネイティブの発音ではなく、文法力である。またノートに和訳例を書き、文法に基づいて間違い一つ一つ丁寧に直す作業だと私は考える。
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