smart.fm で更新してきた、旧チャンネルブログの文法問題をお届けします。
今週は解答編です。
参加して下さった方、ありがとうございました。それでは解答と解説に参りましょう。
画像は「高1向けの英語の教科書」のスキャンです。
文部科学省検定教科書 104 数研 コI/304
POLESTAR I
(正式には Revised POLESTAR English Communication I)
平成28年3月17日 検定済
平成28年12月10日印刷 平成29年1月10日 発行
の
P127から一部をスキャンしたものです。
問題:上の画像にある英文の赤いアンダーラインの英文、
it's how you react to these things that define who you really are.
は誤文である。正しく訂正してください。
解答:define → define
s
解説 この英文は強調構文なのです。強調構文とは、強調したいもの(主語・目的語・副詞(句・節)を it is と that で挟む表現です。
例
Mike met Yuriko in this room yesterday.(マイクはこの部屋で昨日ユリコに会った)
↑この英文で、Mike を強調したい場合、↓こうなります。
It was Mike
that met Yuriko in this room yesterday.(この部屋で昨日ユリコに会ったのはマイクであった)
<この英文が過去時制であることから is ではなく、was になっている>
問題の英文は
it's how you react to these things that define who you really are.
で、ここから it's と that を取っ払うと
→How you react to these things define who you really are.
となります。この時の define の主語は何か?
→How you react to these(これらにどのように反応するか)
のまとまりです。このまとまりを1つと数えますから、この主語は「単数」ですよね
にもかかわらず、
define に 三単現の s が付いていません。
したがって define に s を付けて。
[How you react to these things] define
s [who you really are].
(これらにどのように反応するかがあなたが本当は何者であるかを定義する)
となるのが正しい英文です。
この英文の主語である[How you react to these things] を it is ~ that の強調構文で使って強調して
it's how you react to these things
that define
s who you really are.
という具合に、元々あった define
s をそのまま「三単現のs付きで」表現しなければなりません。
(あなたが本当は何者であるかを定義するのは、これらにどのように反応するかである)
以上が説明です。
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解読への流れ
・まず、it が何を指すかを考える。
1,このitが「Bad things happen.」だとする。
すると
it's how you react to these things ここまでの意味は→「悪いことは起こるものだ、は、これらにどのように反応するか、だ」になる。これはおかしいと判断。
2,it が 「that 以下」だとすると、that の次の動詞 define が変。したがってこの it は that 以下ではない。
3,したがって強調構文だと考える。it's that を取っ払うと
How you react to these things define who you really are.
となる。意味は(これらにどのように反応するかがあなたが本当は何者であるかを定義する)で、ぴったり当てはまる。
しかし、
define に 三単現の s が付いていない。
…
私は大いに困りました。「教科書に間違いなんかあるわけがない」と思っていたからです。何重にもチェックされているはずだからです。
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ネイティブに依頼
・そこで、
ネイティブ(xakyさん)に確認を依頼しました。「defines だと思うのですが、どうですか?」とお聞きししました。するとすぐに返事がありました。「
教科書が間違っています。defines が正しいです」というお返事でした。
原文があって、原文の方が既に間違っていたのです。(↓ここの一番最後)
https://studyenglish.at.webry.info/201405/article_30.html
●私意見
・教科書でこのミスは問題だと思います。(誤字脱字が多い私が言うのは大変恐縮ですが^^)
・原文を変えるわけにはいかないのでしょう。しかしそれならばせめて「注」を入れて、正しくは defines であると記載して欲しいところです。
なお、これはLesson9の英文であり、その2つ前のLesson7では強調構文がピックアップされて教えられたばかりなのです。
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・ネットでこの英文を検索しました。もしも誤文であるならば、誰かが既に指摘しているだろう、と思っていました。しかし「誤文である」という指摘は1件も見当たりませんでした。この教科書は使われ始めて今年で4年目でなんですが。
この4年間、誰もこの間違いに気が付かなかったのでしょうか? もしそうであれば、如何に「今の英語ができる方々は、文法に疎いのか」という話になるのではないかと思います。強調構文を見抜いておらず、強調を意識していない証明になっていると思います。
・逆に言えば、「文法にこれだけ疎くても、高等学校の英語の教科書の英文を作成できるほどの英語力は身につく人は身につく」という証明でもあります。
言いたいことは「【身につく人】は身につく」という点です。「【誰でも】身につく」とは言っていません。私は、「文法に疎くても【誰でも】かなりの英語力は身につく」とは少しも思っておりません。
いかがだったでしょうか? それではまた来週。
問題編
http://q-eng.com/diary/22744
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