やや遅ればせながら、大学共通試験:英語(リーディング) の講評をする。
この試験の改変の目的は
・英語が使える社会人を増やす
であろう。経済界からの要望があった。
だが、わしにはそう見えない。だったら、そういう英語が必要な会社の入社試験に英語の資格を含めれば済む話ではないか。なぜそれを大学受験に求める?
つまりわしが思う、今回の入試改革は
文科省の役人の天下り先確保>英語の資格試験業者を儲けさせる>英語が使える社会人を増やす
↑この優先順位で出来上がっていると思う。英語が使える社会人を増やす…これは3番目の目的だろう。問題を見てそう思った。
1・難易度(特に単語難易度)は低いが、量が多い
2・文法をしっかりやらないと間違う問題が入ってて笑った
3・業者が儲かるだけ:受験生をダシにして天下り先を作るだけの試験。
1・難易度(特に単語難易度)は低いが、量が多い
・出題傾向が大きく変わる年は、難易度が下がる。今までのセンター試験に比べて解きやすくはなっていた。
ただし量が多い。とても普通の受験生がまともに全部読み切れるとは思えない。読み切れるのは成績上位者だけだろう。
ただ、単語の難易度は低い。これは英語学習困難者にとってはありがたい。まだ英語が苦手な学習者が学習のやりようはあると思った。
ただ問題はリスニングの配点が増えたことである。英語学習困難者はリスニングが苦手だからである。
2・文法をしっかりやらないと間違う問題が入ってて笑った
第3問・B 問1 は起きた出来事を時系列順に並べる問題があった。わしはこれをニヤニヤしながら解いた。
「英語が得意人の多くはここを間違えるだろうなあ」と思ったからである。
本文に
She told me that they had asked the town mayor for financial assistance, but their request had been rejected.
という部分がある。この英文の that 以下が過去完了なのである。
英語が【得意】な人の多くは、時制、特に【過去完了】が苦手なのである。時制の学習、過去完了の学習をきちんとやってない人はここを間違えやすいのである。出題者は「得意な人の多くは時制が苦手」ということが分かっているので、こういう問題を出したのだと思った。いい加減に時制を捉えている人はここを間違えたはずである。
センターにあった文法パート(といっても、半分以上は熟語パート)は今回なくなってしまったが、こうした部分にちゃんと生きているんだなあ。とわしは思った。
3・業者が儲かるだけ:受験生をダシにして天下り先を作るだけの試験。
出題形式がTOEICに似せてきている。おそらく来年以降、難易度は上がるだろう。そしたらますます、TOEICなどの資格試験寄りのテストに変わってしまうだろう。私は何度も言っているが「TOEICなどの試験は、基本的に【英語が得意な人向け】の試験であり、苦手な人向けの配慮が全くない」のである。
「TOEIC」などの資格試験は普通どういう人が受けるのか? 英語を活用したい人とか英語の実力を測りたい人【だけ】が受けるだろう。私のように「英語が嫌いで、英語を活用したくない人」はふつう受けない。
つまり、英語の資格試験は英語が得意な人用の試験なのである。
●数学嫌いが数学検定試験を受けたがると思いますか?
しかし今度の入試変革では、英語が好きであろうが嫌いであろうが、英語の資格試験を受けなければならないように変えようとしている。
忘れてはいけないのは、今回はコロナ禍の影響で業者テストの導入が見送られたが、本来は、業者テストを含めて2つの資格試験が、国公立の英語の入試に反映させられるということである。
ということは、今後、この共通試験:英語は、ますます業者のテストに傾向似せて作られる可能性が高い。つまり、今度の大学入試変革は、受験生をダシにし、英語資格業者を儲けさせて、文科省の役人の天下り先を増やすのが主な目的なのである。英語が使える社会人を増やす…のが主な目的ではなくて!
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