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助動詞は難しいのか?(wouldの場合)(解答編)
こんにちは。旧チャンネルブログの流れを汲む日記の水曜日がやってきました。
今週は解答編です。
今回チャレンジしてくださった皆様、ありがとうございました。m(_ _)m
今回「も」私の予想と異なる結果でした。今回の皆さんのお返事は私の予想よりもバラけました。ということはそれだけ難しかった、ということでしょう。私の予想はよく外れるなあ…私は競馬の予想屋にはなれそうにありません(^^;
では、解答・解説に行きます。
まず、would について知って欲しいことが1つあります。
would は will の過去形であるが、
⇒過去の意味を表す場合
⇒現在の意味を表す場合
この2種類がある。
という知識です。
これだけ言われても分からないかもしれないですね。
実は今回の問題の(1)~(6)は
(1)~(3)⇒過去の意味を表す場合
(4)~(6)⇒現在の意味を表す場合
だったのです。
それでは個別に見ていきましょう!
(出展参考:Forest, サンライズクエスト英和辞典,新英文法用例辞典)
――――――――――――――――――――――――
次の(1)~(6)の訳例を作りなさい。
(1)~(3)⇒過去の意味を表す場合
(1) Ken said that Betty would come to Japan.
模範解答:ベティは日本に来るだろうとケンは言った
解説 : 難しく言うと「話法」の問題。時制の一致で will が would になっただけ。
実際にケンが言った言葉は「Betty will come to Japan.」「ベティは日本に来るだろう」だった。
これは、ケンによる「予測」である。だからできれば訳例に「だろう」という言葉が欲しい。
(4)~(6)⇒現在の意味を表す場合
(4) Would you give me the book?
模範解答:その本をいただけませんか?
解説:もし過去の意味だったら、「その本を(過去の時点で、例えば昨日)いただけませんか?」になってしまう。
実は “would you ~?”と聞いた場合「時制は現在」。【丁寧な依頼】「(今)~していただけませんか?」になる。
A secret agent would never tell you his real name. の場合、主語は「a secret agent」である。「the secret agent」ではないので、「特定のスパイ」をさしているわけではない。一般的な「スパイ(の1人)」という意味である。
とすると「(一般的な)スパイは~をする・~だ」という英文であることが分かる。
これを踏まえて、(1)~(5)の場合がありえるかどうかを検証してみる。
A secret agent would never tell you his real name.
(1)…(は時制の一致だからありえない)
(2)(一般的な)スパイはどうしても自分の本名を言おうとしなかった。
⇒特定の誰か(例えば、007)が、「どうしても自分の本名を言おうとしなかった」のであれば意味は通る。しかし特定のスパイを指していないのでおかしい。
(3)…(一般的な)スパイはどうしても自分の本名を言おうとしなかったものだった。
⇒特定の誰か(例えば、007)が、「どうしても自分の本名を言おうとしなかったものだった」のであれば意味は通る。しかし特定のスパイを指していないのでおかしい。
(4)…(would you …? なのでありえない)
(5)…(一般的な)スパイはどうしても自分の本名を言おうとしないと思うけど…
⇒実は、↑この可能性はある。でも、実は この英文にはまだ別の可能性があり、そちらのほうが適切なのである。
ここから先は仮定法を踏まえた解説になる。まだ仮定法を学習されていない方は以下の説明は読まなくても良い。その場合「仮定法で使われる特殊な would がある」とだけ覚えておいて、後に学習して欲しい。
A secret agent would never tell you his real name.
のように would(や could や might)が使われた英文の場合、主語に仮定の意味が込められる場合がある。
つまり、「(もし、ある人が)スパイ(というものである)ならば、本当の名前を言うことはないだろう」
A secret agent would never tell you his real name.
=If a man were a secret agent, he would never tell you his real name.
となります。
このように「主語に仮定の意味が入る例」はなじみが薄いかもしれませんね。
他の例文を2つ挙げましょう(出典:英文法解説:江川秦一郎著)
(8) A wise mother would be stricter with her children.(賢明な母親なら、もっと子供に厳しくするだろう)
(9) The use of nuclear weapons would be an outrage against humanity.(核兵器を使えば、人道に反する残虐行為になろう)
今回はこれ(主語に仮定の意味が入る)がぴったりだったわけです。
ここまでよろしいでしょうか?
では、(7)の解答と解説に行きましょう。
A・Bの正しさについて、ア~エのうち正しいものを選びなさい。
(7)「彼女が亡くなったのは80歳ぐらいだっただろう」の英訳例として
A She would be about eighty when she died.
B She would have been about eighty when she died.
ア・Aのみ正しい
イ・Bのみ正しい
ウ・A、B共に正しい
エ・A、B共に間違い
正解は ウ・A、B共に正しい もしくは イ・Bのみ正しい
とします。
答えが2つあってごめんなさい。それぞれの立場があるのですよ~
以下で理由を説明します。
まず、「サンライズクエスト英和辞典」の would の説明には
(5) 《控えめな推定・意向などを表して》(多分)…(だった)でしょう
という説明箇所があります。その例文の1つは↓こうです。
She would have been about 80 when she died.
↑これを私が見たとき、私は「まあそうだろうなあ」という感想でした。こういう場合普通は「 would have 過去分詞 」だ、と私は記憶していたからです(理由は後述)。
ところがその後、私が 「新英文法用例辞典」(研究社出版)という本で、would の用例を探していたとき、
↓こういう例文が書かれているのを発見しました。(P228)
She would be about eighty when she died.
私の感覚だと↑こちらのほうが間違っている気がしました(理由は後述)。しかし用例として書かれているからには正しいのだろうと思いました。
まず、ここで多くの人に知って欲しいことがあります。
【普通】過去の推量(あのとき、○○は~だっただろう・かもしれない、など)をするときは
× 助動詞の過去形
○ 助動詞+have + 過去分詞
と使う!
ということです。よろしいですか?
「助動詞+have + 過去分詞」の時制は、現在(現在完了)ではないのです!
「助動詞+have + 過去分詞」の時制は、立派に「過去時制」なのです。
例
(10)・You may have heard this joke before.(この冗談は前に聞いたことがあるかもしれない)
⇒「過去の時点で」聞いたことがあるかもしれない、という推測
⇒「今」聞いたかもしれない、ではない!
(11)・You might have heard this joke before.(この冗談は前に聞いたことがあるかもしれない)
⇒「過去の時点で」聴いたことがあるかもしれない、という推測
⇒「今」聞いたかもしれない、ではない!
実は↑この2文には意味の差がほとんどありません。(might だと自信の程度が若干下がるぐらい)
(12)・He could have left his umbrella in the shop.(彼はその店にカサを忘れたかもしれない)
⇒「過去の時点」で置き忘れたかもしれない、という推測。
⇒「今」置き忘れたかもしれない、ではない!
(補足:「could have 過去分詞」はこのように存在する形だが、「can have 過去分詞」は疑問文や否定文(cannot have 過去分詞)以外では普通使わない)
と、このように、
「助動詞+have + 過去分詞」の時制は、立派に「過去時制」なのです! 現在時制ではない!
だから、これに則れば
B She would have been about eighty when she died.
こっちのみが正解のはずなのです。
では、「新英文法用例辞典」(研究社出版)の例文
A She would be about eighty when she died.
は、なぜ正解にできるか?
実は後ろに「when she died」があるために、正解にできると考えられます。
「彼女が死んだとき」であれば、「(過去に)~だろう」と推測が付くからです。
もし「when she died」がなかったら
⇒She would be about eighty.
「彼女は(今)80歳だろうと思うけど」という(5)と同じく「現在の意味」になってしまいます。
「when she died」が付くことで、この would を無理やり「過去の推量」にしているのです。
ちなみに、このように「過去の推量(あのとき~だったろう)」を「would have 過去分詞」ではなく、would(単独)で説明している箇所を、辞書やロイヤル英文法では発見できません(注:ジーニアスG4にはあるようです:2/7訂正)。辞書やロイヤル英文法などでは、「過去の推量(あのとき~だっただろう)」は、「would have 過去分詞」と説明されています。
さて、このように困ったときは、ネイティブの力を借ります。というか借りました。
とてもお忙しいxakyさんに質問を投げかけたところ(ありがとうございますm(_ _)m)、
↓こういった返事が返ってきました。
A and B mean the same thing.
The speaker was not there to confirm the death but is making a guess about her age at the time of death.
B is correct.
A is often used in spoken language, but I don't think it's grammatically correct.
Would is the present tense and the event occurred in the past.
AとBは同じ意味である。
話し手は死を確認するためにそこにいたわけではなかったが、彼女の死亡した年齢を推測している。
Bが正しい。
A は会話では良く使われるが、文法的には間違いだと思う。
would は現在時制であるが、この出来事は過去に起こった。
つまり
A She would be about eighty when she died.
は会話なら許されるが
文法的には
B She would have been about eighty when she died.
のみが正解
ということになるようです。
以上になります。いかがだったでしょうか?
チャレンジして下さった皆様、今回もありがとうございました。
次回もまたよろしくお願いします。m(_ _)m
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